治療・予防

学童期に表れる難病―シャルコー・マリー・トゥース病 
子どもの不便さに理解と配慮

 シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)と呼ばれる、遺伝子の異常が原因で起こる末梢(まっしょう)神経の疾患がある。幼児・学童期に歩きにくい、走るのが遅いなどの症状で見つかることが多い。「1万人に1人とまれな疾患なので認知度が低く、つらい思いをしている子どもたちがいます」と、京都府立医科大学付属北部医療センター(京都府与謝野町)の中川正法病院長は、学校関係者などへの理解を求める。

うまく歩いたり走ったりできないことからこの病気に気付くこともある

 ▽運動と感覚に障害が

 CMTは1886年に、シャルコー、マリー、トゥースの3人の医師によって報告された遺伝子の異常による末梢神経疾患の総称だ。末梢神経には運動・感覚・自律神経機能の三つの機能がある。このうち、主に運動機能と感覚機能に障害が起こり発症するのがCMTだ。

 運動機能が損なわれると、手や脚の筋肉が萎縮し筋力低下が生じて、よく転ぶ、足首を捻挫する、脚が痩せるなどの症状が表れる。

 足の爪先を上げられないので、つまずかないように太ももを高く上げる「鶏歩」と呼ばれる歩き方も特徴的だ。手の指先に力が入りにくくなり、鉛筆をしっかり握れずに筆記が遅くなる、箸を上手に使えない、ボタンを留めるのが苦手になる―なども起こる。

 一方、痛みや暑さ、冷たさなどが感じにくい、手足がしびれるなどの症状は、感覚機能の障害によるという。中川病院長は「症状は基本的に左右対称に表れます。多くは20歳までの若年発症ですが、50歳前後で発症するケースもあります」と説明する。

 ▽治療はリハビリが中心

 現在、約100種類のCMTの発症に関わる遺伝子が分かっている。しかし、遺伝子の異常とCMT発症の詳細な関係は今のところ明らかになっていないという。

 CMTの診断には問診、前述の症状を診るための神経学的診察を行う。CMTが疑われた場合は、末梢神経の働きを調べる神経伝導検査や遺伝子検査など、さらに詳しい検査で判断する。健康な人の運動神経伝導速度は毎秒60メートルだが、CMTのタイプを分類する際には、毎秒38メートルが境界の目安になるという。

 CMTは、歩く、走る、物をつかむなどの機能に障害が起こるため、日常生活に影響が及ぶ。現時点では有効な治療法がないので、日々のリハビリテーションが中心になる。アキレスけんのストレッチや足の裏のマッサージなどを行い、症状に応じて歩行を支える装具を装着する。

 中川病院長は「CMTの子どもは、朝礼などで立ちっ放しだと疲れてふらついたり、和式トイレでしゃがむことが難しかったりします。学校側がこうした子どもたちの不便を理解して、学習環境に配慮してほしいです」と訴えている。(メディカルトリビューン=時事)

新着トピックス