脳梗塞も血管内治療の時代 =血栓溶解剤が効かない時の次善策
脳卒中は寝たきりになる原因疾患の第1位。その6~7割を占める脳梗塞で近年、脳血管にカテーテルと呼ばれる細い医療器具を通し、詰まった血の塊(血栓)を除去する「血管内治療」の有効性が相次いで報告されている。兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)脳卒中センターの吉村紳一センター長は「心臓と同じように、脳梗塞でも血管内治療が世界標準の時代になりつつあります」と話す。
◇t―PAの限界
近年増加している脳梗塞は、脳に栄養分や酸素を送る動脈に血栓が詰まり、脳細胞が死滅する。中でも心臓にできた大きな血栓が流れて脳血管を詰まらせる心原性脳梗塞は「ノックアウト型」と呼ばれ、太い動脈が詰まるため傷害の範囲が広く、まひや言語障害、意識障害などの後遺症が最も深刻だ。
脳細胞を守り、後遺症を少しでも減らすには、発症後一刻も早く血管を再開通させなくてはならない。現在、最初に行われる治療は血栓を溶かす薬剤「t―PA」の静脈注射。軽症の人では、約3割で血管が再開通し、社会復帰できると言われるが、10年の臨床経験を経て、限界も明らかになってきた。
吉村センター長は「太い血管の開通は難しく、重症例に対する効果は極めて低いことが知られています」と説明する。
(2017/02/13 12:08)