治療・予防

生存率向上も心臓病に注意 
がん治療に伴う副作用

 抗がん剤などの治療法が進歩し、多くの人ががんと共に長く生きる時代になりつつある。がんの治療を計画通りに完遂して効果を得るために、心臓への副作用に対応することやがん以外の病気を予防することが重要となっている。順天堂大学大学院(東京都文京区)臨床薬理学の佐瀬一洋教授(循環器専門医)は「がんの治療を心臓病で中止・中断することのないように、心臓を守りながら、がん治療に取り組みましょう」と呼び掛ける。 

 ▽副作用やがん以外の病気に注意

 高齢化などのため、日本人の2人に1人ががんにかかる時代になった。抗がん剤など治療の進歩は目覚ましく、すべてのがんでみると、5年生存率は約66%とされる。

 がんにかかりながら長く生きれば、高血圧や糖尿病といったがん以外の持病を抱えるケースも多くなる。実際に、乳がんと診断された女性の死因として、診断から約10年経過すると、それ以降は乳がんよりも心臓や血管の病気の方が多くなるという米国の研究結果もある。

 がん治療が心臓に及ぼす副作用も注目されている。例えば心不全。がん細胞も正常細胞も障害する従来型の抗がん剤(ドキソルビシンなど)の他、がん細胞を狙い撃ちにする新しいタイプの抗がん剤(トラスツズマブ、ベバシズマブ、スニチニブなど)でも注意が必要とされている。最新の「がん免疫療法薬」(ニボルマブ、ペムブロリズマブなど)の場合も、心臓の筋肉に炎症が生じることが分かってきた。

 ▽がん治療医と循環器科医が連携

 そこで、起こり得る副作用から心臓を守る方法を探る動きが出てきた。がん治療を始める前に、使用する抗がん剤、患者の年齢、心臓の機能、心臓病の有無などを把握する。治療中は心臓の状態を適宜チェックし、心不全の兆しがあれば、治療の中止・中断を最小限にとどめるための対応を取る。治療後は心臓の機能を維持するリハビリテーションを行う、といった取り組みだ。

 がん治療の専門医と循環器内科医が協力して、心臓病の発症予防に向けた体制を構築する病院が増えている。がん治療が終わった後にも地域の医療機関と連携し、心臓病を早期発見・治療する枠組みも求められるという。

 佐瀬教授は「抗がん剤と心臓病との関連は、がん治療が進歩したからこそ注目されています。適切ながん治療をしっかり受け、治療中や治療後に心臓を守るように、医療従事者と共に取り組んでほしい」とアドバイスする。 (メディカルトリビューン=時事)

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