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がんと新型コロナ、どう向き合うべきか
~科学的根拠の乏しい情報に注意を~ 勝俣範之・日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授に聞く


 ◆がん患者の通院、どうすれば?

 海原 通常通り、診療に行ってもいいのかという判断。どうすればいいでしょう。やはり、主治医と相談でしょうか。

 勝俣 病院というところは、クラスターが発生したりしていますので、最もリスクが高い場所の一つです。

 がんの患者さんの診療については、例えば、治療が何年も前に終了していて、数カ月から半年に1度程度、通院をしているような人の場合、診療に行くのを多少延期するのは問題ないと思われます。

勝俣先生らが最近出版した共著本

 病院によっては、電話再診やオンライン通院を行っているところもあるようです。具体的なところは、やはり主治医と相談してもらうのがよいと思います。

 がん患者さん向けの情報に関しては、「日本癌治療学会」「日本癌学会」「日本臨床腫瘍学会」の3学会で合同作成した「がん診療と新型コロナウイルス感染症:がん患者さん向けQ&A」がウェブ上で公開されていますので、参照するとよいと思います。

 海原 がんの治療を受けている場合、手洗いや外出自粛などのほかに、特別に気を付けた方がいいことはありますか。

 勝俣 やはり、最も大切なことは、手洗いをこまめにしたり、3密を避けたり、外出を自粛したりと、一般の人たちと大きく変わるわけではありません。

 これまでお話したように、がんの患者さん全てが、新型コロナのリスクが非常に高いというわけではありませんので、過剰に恐れる必要もないかと思われます。

 ◆「極端に断定している情報」に注意

 海原 いろいろな情報があって、不安になることが多いです。間違った情報に惑わされそうな場合、どんなことに気を付ければよいですか。


 勝俣 「〇〇すればよい」とか、「〇〇が危ない」など、極端に断定している情報は気を付けましょう。

 このような情報は、分かりやすいのですが、怪しいことが多いです。情報源を確認しましょう。

 信頼できる情報源は、公的な情報源です。厚生労働省や、国立感染症研究所、世界保健機構(WHO)などが、現在では、最も信頼できる情報源でしょう(図参照)。

 これらの公的機関の情報は、複数の専門家たちが慎重に議論して出している情報ですので、信頼性が高いです。民間からの情報は、分かりやすい半面、情報源が非常に怪しかったり、時に、これらの情報源を否定していたりしますので、注意が必要と思います。

 海原 先生はかねがね、エビデンス(科学的根拠)のある医療情報にアクセスするよう、提唱しています。

 先生のご指摘の通り、新型コロナウイルス感染とがんの情報には共通点があります。そうした視点から見ると、最近のテレビのワイドショーのコメンテーターの意見には、首をかしげるようなものも少なくありませんね。

 【後記】勝俣先生らが最近出版した共著本「世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療」には、「正しい情報にどうやってアクセスすればよいか」について、ヒントが書かれています。こちらを読んでいただくと、正確な医療情報を得る手助けになると思います。


 勝俣範之(かつまた・のりゆき) 山梨県富士吉田市生まれ。1988年富山医科薬科大学医学部卒業。国立がんセンター中央病院内科勤務を経て2004年ハーバード大学生物統計学教室に留学。ダナファーバーがん研究所、ECOGデータセンターで研修後、国立がんセンター医長。11年10月から日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授。 

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