特集

やめたくてもやめられぬ
アルコール依存症
~入院治療の日々を報告~(下)

東京断酒新生会について説明する会員(左2人)=本文とは関係ありません

東京断酒新生会について説明する会員(左2人)=本文とは関係ありません

 ◇断酒は日々の目標

 遅刻や欠勤を繰り返し、仕事に穴をあけることもある。ストレス解消のために介護や家事の合間に酒を飲むようになる。いったんアルコール依存症になったら、普通の酒飲みには戻れない。それどころか、健康な生活を送るためには一滴のアルコールもご法度だ。

 アルコール依存症からの回復を目指す専門の治療プログラムは3カ月間に及ぶ。その前の総合病院と合わせると、断酒100日間を超すことになる。100日も酒を飲まないなんて、成人以来初めてだ。問題は退院後も断酒を貫くことができるかだ。

 ◇薬も選択肢

 「われながらよく頑張ってきた。きょうはごほうびだ」
 「毎回、飲み会を断るのも悪い」

 せっかく断酒をしていながら「再飲酒」してしまうケースは少なくない。断酒を続けていくためには、同じ病気で苦しんできた仲間の力が大きい。自助グループには、米国で生まれた「AA(アルコホーリクス・アノニマス=無名のアルコール依存者たち)」や日本で独自に発達した「断酒会」がある。

 治療を助ける手段として薬も用いられる。中枢神経に作用し飲酒の欲求を抑えるのが断酒補助薬で、抗酒剤は服用中に飲酒すると、ひどい二日酔いのような状態になることで飲酒を防ぐ。(鈴木豊)

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