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新型インフルに警戒
東京五輪に向け対策を

 ◇訪日外国人急増でリスク上昇
 家禽の大量死など感染拡大時の明確な兆候が見えれば、政府は緊急対策を取る。ただ、明確な兆候がないような場合、インフルエンザと診断された患者を対象にした遺伝子検査などで新型と確認されるまで、新型インフルエンザの流行と認定されない可能性もある。

 新型インフルエンザと確認に至っていない段階で問題になるのが感染地帯からの患者の入国だ。2009年のパンデミック時に比べ、日本を訪れる外国人は大幅に増加。日本政府観光局が発表した2016年の訪日外国人観光客数(推計値)は前年比21・8%増の2403万9000人だ。当然、日本人の帰国者だけでなく、インバウンドの中から患者が出る可能性が高くなっている点を考慮しなくてはいけない。特に中国南部沿岸地帯からの訪日観光客は多く、現地で新型インフルエンザの流行が起きた場合は何らかの対策が必要になる。

 ◇「国際外来」の開設を
 「WHOによるパンデミック宣言があれば、検疫の強化などである程度患者の流入を遅れさせることはできる。しかし、宣言前に患者が入国、発症して感染が広がる可能性は残る。この場合、外国人を受け入れるには、重症患者が集まる大学病院や一般開業医では言語や保険制度の問題が障壁になり、なかなか対応できないだろう」。

 2009年のパンデミックや2014年のデング熱患者の国内発生などに対応してきた浜田教授が懸念するのは、感染の拡大防止や治療以上に医療機関側の受け入れ体制だ。

 感染が広がり患者数が一定数に達すれば、一定の地域ごとに専門外来を設けて疑わしい患者を集中的に受け入れることになる。ただ、外国人への周知や受け入れ法についての検討はまだ十分ではない。しかも旅行者の場合は、多少体調が不良でも観光を続けることが多く、感染拡大の危険性を高めてしまう。

 浜田教授は「最終的には、一般の訪日外国人の日常診療に携わる『国際外来』などという診療科を設け、一般病院や診療所にひろげていくことが有効な対策になる」と提言する。

 「新型インフルエンザ以外で危険性の差はあるにしても、今後、多様な感染症が持ち込まれる可能性は高まるだろう」。20年の東京五輪・パラリンピックを控え、インバウンドのさらなる増加が予想されている。インバウンドが増えれば、インフルエンザ以外の病気やけがによる受診の機会も増す。浜田教授は「医療面でのインフラ整備も欠かせない。早く取り組む必要がある」と強調した。(編集委員・鈴木豊)

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