ロボット支援下膵切除術2種類(膵頭十二指腸切除術・膵体尾部切除術)の保険診療を導入
◆発表のポイント
・2020年4月より、肝胆膵領域において新たにロボット支援下膵切除術(ロボット支援下膵頭
十二指腸切除術および膵体尾部切除術)が保険適用となりました。
・岡山大学病院肝・胆・膵外科は、保険診療に合わせて2020年9月から中国四国地方で初めて
「ロボット支援下膵頭十二指腸切除術」を開始しました。
・2021年4月からは「ロボット支援下膵頭十二指腸切除術」および「ロボット支援下膵体尾部切除術」の保険診療を開始します。
岡山大学病院 肝・胆・膵外科では、2020年4月に肝胆膵疾患に対してロボット支援下膵切除術(ロボット支援下膵頭十二指腸切除術および膵体尾部切除術)が保険適用となったことを受け、2020年9月より中国四国地方で初めて「ロボット支援下膵頭十二指腸切除術」を開始しました。
保険診療としてロボット手術を行うには一定の施設基準を満たす必要があり、これまで岡山大学病院 肝・胆・膵外科では、高木弘誠助教(臓器移植医療センター)、楳田祐三准教授(岡山大学学術研究院医歯薬学域)を中心に、ロボット支援下膵頭十二指腸切除術の保険適用施設を目指して、症例を重ねてきました。
現時点でロボット支援下膵頭十二指腸切除術を行っているのは、中国四国地方では岡山大学病院のみであり、2021年4月からは「ロボット支援下膵頭十二指腸切除術」および「ロボット支援下膵体尾部切除術」の保険診療を開始します。
■発表内容
<背 景>
近年、患者さんへの身体的負担を減らすために、腹腔鏡手術やロボット(ダ・ヴィンチ)手術による低侵襲手術が肝胆膵外科領域において、欧米を中心として急速に発展してきました。特にロボット(ダ・ヴィンチ)手術では、直線的な操作に限定される腹腔鏡手術と異なり、人間の手のような多関節能を有するロボットアームを用いるため、操作性が格段に向上しています。また、高性能内視鏡による3次元画像やアームの手振れ防止機能も有しているため、肝胆膵領域の高難度手術では、より安全で確実な手術につながることが期待されています。
肝胆膵外科領域におけるロボット手術は、2020年4月にロボット支援下膵切除術が保険適用となりました。しかしながら、どの施設においてもすぐにロボット手術を開始できるわけではなく、保険診療でロボット手術を行うためには術式ごとに一定の施設基準が設けられています。
<実 績>
岡山大学病院臓器移植医療センターの高木弘誠助教は、2017年から2019年にオランダ・ロッテルダムのErasmus Medical Centerの肝胆膵・移植外科に臨床留学し、その間ロボット支援下膵頭十二指腸切除術を中心に約70例の低侵襲膵切除術に従事しました。その海外での経験をもとに、岡山大学病院では、2020年9月にロボット支援下膵頭十二指腸切除術を導入し、高木弘誠助教と楳田祐三准教授を中心に、これまで安全にロボット支援下膵頭十二指腸切除術を行ってきました。
膵頭十二指腸切除術は複雑な消化管再建を必要とするため、多関節能を有するロボット手術には最適の術式と考えられます。また、手術時間や出血量、術後合併症の頻度は欧米の結果と比べて遜色(そんしょく)のない結果であり、安全に施行可能であることを確認しています。
<今後の予定>
岡山大学病院では、2021年4月より肝胆膵疾患に対するロボット支援下膵頭十二指腸切除術およびロボット支援下膵体尾部切除を保険診療で開始し、当面は1~3例/月のペースで行う予定としています。
<お問い合わせ>
岡山大学病院 肝・胆・膵外科
教授 八木 孝仁
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)
准教授 楳田 祐三
岡山大学病院 臓器移植医療センター
助教 高木 弘誠
(電話番号)086-235-7257 (FAX)086-221-8775
(URL)http://www.ges-okayama-u.com/
(2021/04/26 12:25)