治療・予防

症状ない場合が多い胆管がん
~健診での異常を放置しないで(国際医療福祉大学成田病院 宮崎勝病院長)~

 健康診断で精密検査を勧められても、放置していると症状が出たときには既に手術が行えないケースが多く、死亡率も高い消化器がんの一つ、胆管がんについて、国際医療福祉大学成田病院(千葉県成田市)の宮崎勝病院長に聞いた。

 ▽肝内胆管がんが増加

 食物を消化する胃に続く十二指腸は、胆汁などの消化液を分泌し、腸での吸収を助ける。胆汁は肝臓で作られ、胆のうに蓄えられる。食物が十二指腸に届くと胆のうが収縮し、胆汁が十二指腸に流れる。この胆汁が通る10~15センチの管を胆管と呼ぶ。

 宮崎病院長は「胆管がんは50歳代以降に多く発生します。肝臓内の細い胆管にできる肝内胆管がんと、肝臓から出た所から十二指腸の注ぎ口までにできる肝外胆管がんに分けられますが、近年、肝内胆管がんが世界的に増加しています」と説明する。

 ▽数値の異常に注意

 胆管がんは初期には症状がないことが多い。「特に、肝内胆管がんはかなり進行しても症状が出ません。ある程度進行して胆管ががんでふさがれると胆汁の流れが滞って逆流し、黄だんが表れます」。黄だんになると、尿の色が濃くなって気付くことが多く、白目や皮膚が黄色っぽくなり、便は白っぽくなるという。

 胆管がんは死亡率が高い。「初期は症状がなく、症状が出た時には進行しているため、手術が行えず亡くなる患者さんが多いのです。手術は唯一の根治的な治療法であり、手術できる早期の症状のない段階で見つけることが最も重要です」

 症状がない段階でも健診で異常が出ていることは多く、放置しないことが重要だ。宮崎病院長は「健診や人間ドックの血液検査や腹部超音波検査で異常を指摘されたら、必ず専門医の診察を受けてください」と訴える。血液検査で表れる項目はALPとγ―GTPの数値。肝臓が侵されるとASTやALTにも異常が出る。

 「手術は日々進歩しています。手術不能の際に使うペミガチニブという新薬も登場しています。進行がんで見つかった場合でも、手術により切除が可能な場合もあります。決して諦めないでください」と宮崎病院長は呼び掛ける。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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