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いつでも君のそばにいる
~小さなちいさな優しい世界~ ADHDの特性生かした切り絵作品集

 すてきな切り絵の本を見つけました。
 「いつでも君のそばにいる」
 小さなちいさな優しい世界
 切り絵アーティストのリト@葉っぱ切り絵さんの作品集です。

(文 海原純子)

葉っぱ切り絵コレクション いつでも君のそばにいる(講談社)

 ◆切り絵を始めたきっかけとは

 トウニズミモチ、サンジュ、時には、モミジやアオキ、イチョウ、アイビーなどの葉っぱを使い、生き物たちの世界を温かく、そして時にはユーモアたっぷりな表現で描き出しています。

 例えば、「小さい秋、君も探しに来たの?」という作品では、リスとカメレオンが向かい合って秋を向けています。

 「夜空と月と自転車」は、あのETのシーンが葉っぱの上でよみがえるのです。本のページをめくるたびに心がほっとする。この切り絵の作者の切り絵を始めたきっかけは、ご自分が「注意欠陥多動障害(ADHD)」と診断され、会社勤務がうまくいかなかったことだと言います。

 「要領がよくなくて、不器用で」と、ご自分の会社員時代について書いているリト@葉っぱ切り絵さん。直したくても、治らない自分の傾向について考えたそうです。「会社を辞めた後、今後、普通のふりをして働くか、障がい者として配慮を受けながら働くのか」と。悩んだものの「そのどちらも嫌だ」と思ったリト@葉っぱ切り絵さんは、アートにたどり着きました。

小さい秋、君も探しに来たの?

 ◆自分の強みを生かす

 興味があることに向かうと集中する自分の「強み」を活かし、切り絵を始め、さらにその切り絵に葉っぱを使うことで、自分らしさを表現することになったのです。ADHDであることが逆に、切り絵アートを成功に導いたと言えるのではないか、と思いました。

 「人と同じことができない人は、人ができないことができる」私は診療の場面で、そう感じることがしばしばです。ただ、自分にしかできないことを見つけるのは、時間がかかり、苦難もたくさんあると思います。

 「ポジティブサイコロジー」という医学の分野では、苦境に陥った時、それを乗り越えるには「自分の強みを探し活用する」ことだとされています。自分ができないことに心を向けて自己否定したり、自己肯定感を低下させたりする心の向きを変えて、自分が興味を持てること、集中できること、それをしていると生きているという実感を感じられること、それをするのは大変でも苦痛を感じないことを探すことが、強みを見つけるきっかけになるとされています。

 審美眼、美しいものを美しいと感じる心は、強みの一つです。自分では何でもないと思うことが実は人にはない強みであることも多いのです。

 切り絵の絵本に添えられた一言のメッセージは、自然の中で生きる人と生き物がお互いに共感しあう言葉が添えられています。優しい世界、味わってみてはと思います。(了)

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