治療・予防

治りにくい乾癬に効果
生物学的製剤の有効性(東邦大学医療センター大橋病院皮膚科 向井秀樹客員教授)

 慢性の皮膚病で関節炎が生じることもある乾癬(かんせん)で、重度でも有効な生物学的製剤という薬が注目されている。東邦大学医療センター大橋病院(東京都目黒区)皮膚科の向井秀樹客員教授は「治りにくい症状や治療の悩みがあれば、かかりつけ医と相談して生物学的製剤を検討してください」と話す。

悩んだら、かかりつけ医に相談を

 ▽かゆみや見た目の悩み

 乾癬は皮膚が赤く盛り上がり炎症を起こす。表面に銀白色のかさぶたができ、ボロボロと剥がれ落ちる。肘の内側や膝の裏、頭髪の生え際などの部位にできやすく、かゆみを伴うことが多い。関節炎の併発や、全身に発疹が広がり赤くなる紅皮症に至ることもある。

 向井医師は「皮膚の表皮は約28日で入れ替わります。乾癬は、この周期が4~5日と短いため起こります」と説明する。

 国内の推計患者数は50万~60万人。欧米に比べて少ないが、ここ数十年は増加傾向だ。男性は女性の1.5倍で、肥満や高血圧、糖尿病などの人に多いという。

 「乾癬の遺伝的素因があると、食生活などの影響で成人以降に発症しやすくなります。うつる病気ではありませんが、かゆみや外見の悩みからQOLが低下します」

 ▽定期的に副作用検査

 治療の第1段階は、外用薬(外用療法)が中心となる。第2段階では、紫外線を当てる光線療法や免疫調整薬などの内服療法を併用する。それでも効果が不十分な場合には、第3段階として、炎症に関わる物質の働きを阻害する生物学的製剤を使う。

 現在、乾癬治療に使える生物学的製剤は10種類。向井医師は「副作用の予防や早期治療の観点から、生物学的製剤による治療ができるのは、一定の条件を満たすと日本皮膚科学会が承認した全国600強の医療施設に限られます」と話す。

 生物学的製剤は高額医療費制度の対象で、定期通院が必要だ。注射薬を2週間または1~3カ月ごとに継続的に投与し、胸部X線検査や血液検査で副作用の兆候を調べる。内服療法では、外用療法が十分効かない患者の約4割で皮膚症状がほぼ消失するが、完全に消えることはまれだという。

 「生物学的製剤では9割以上に改善が見られ、発疹が完全に消える患者も少なくありません。治療に満足できない、症状に悩まされているといった場合には、生物学的製剤の使用が可能な施設で専門医の診察を受けてみてください」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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