治療・予防

叱らず、悩まず、医師に相談―夜尿症=日中の生活習慣改善を

 「おねしょ」は、医学的には「夜尿症」と呼ばれ、排尿機能が未発達な子どもに起こりやすい。多くは5歳を境に少しずつ減っていくが、いつまでも治らず悩んでいる親子も多いという。昭和大学藤が丘病院(横浜市)小児科の池田裕一准教授は「子どもの夜尿症は、日中の生活習慣の改善が重要です」と話す。

 ◇目安は毎晩か否か

 人は睡眠中、副交感神経の作用でぼうこうの容量が増え、脳下垂体から分泌される利尿を抑えるホルモンが尿の量を減らすことによって、十分に眠れる態勢をつくり出している。子どもは、この排尿機能の発達が十分でないため、寝ている間に無意識に尿が漏れてしまうことがある。池田准教授は「排尿機能の発達には個人差があるため、放っておいて治るものなのか、親はとても悩むところです」と話す。

 他に疾患が無く、週に1~2回程度の夜尿で、親も子どもも困っていなければ様子を見ても構わない。「毎晩や、一晩に2回夜尿を繰り返す場合は、自然には治りにくいので、子どもの生活に合わせて6~7歳をめどに治療を開始した方がいいでしょう」と池田准教授は助言する。

 夜尿症は、治療を行うと75~80%が早期に改善し、そのうち約2割は生活習慣の見直しだけで良くなるという。

 ◇夜は水分を控えめに

 一番重要なのは、夕方から寝るまでに取る水分をコップ1杯、100cc程度に抑えることだ。「夜尿症の子は、夕方から水分を取る傾向があります。そうではなく、日中に1リットルほどの水分を小まめに取るようにすれば、夜寝るまでの水分を控えても何ら問題はありません」

 同時に、尿意を感じなくても昼間はトイレに何回も通わせることが夜尿症の改善につながると池田准教授は強調する。さらに、毎日、夜尿日誌を付けてもらい、具体的な生活指導をしていく。

 病院では、尿量を調節する抗利尿ホルモン剤の服薬による治療も行う。ぬれるとアラームが鳴る夜尿アラームは、排尿が無意識に止められるようになり、ぼうこう容量の増加が期待できる。

 夜尿症は、子ども自身が一番気にしている。それだけに、親が叱ると子どもは深く傷つき、治療の難しい状態になってしまうこともある。池田准教授は「悩まずにとにかく一度、夜尿症の治療を行っている小児科や泌尿器科に相談してほしい。治療の見通しが立てば、親子とも安心し、それだけで夜尿症が改善することもあります」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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