Dr.純子のメディカルサロン

ポジティブな言葉は最高の栄養 増田明美さん

中日名古屋スピードマラソン女子20km、当時の世界最高記録で2位に(1982年)
 そして選手の時も今も、決めているのは本番の前にネガティブなことを言わないこと。言魂(ことだま)ってあると思うのです。これは失敗から学びました。20歳の時に出場したロサンゼルス五輪の女子マラソン、暑さ対策に失敗して体は最悪の状態でした。「走りたくない」「自信がない」と、絶望的な言葉を毎日のように監督やマネジャ-に言っていたら「私はダメだ」と体が覚えてしまったのですね。大舞台で体がカチカチになり、呼吸も苦しく、16kmで途中棄権をしてしまいました。

 言葉は、言の葉を運ぶと言いますが、すごく心に影響を与えると思います。ですから今は、大勢の人の前で話す時など「遠足気分で楽しく」とか「口元にお日さまを」なんて、呪文のように自分に言っているんですよ。ポジティブな言葉は、最高の栄養を心に染み込ませてくれると信じています。


増田明美(ますだ・あけみ)
スポーツジャーナリスト・大阪芸術大学教授
1964年、千葉県いすみ市生まれ。成田高校在学中、長距離種目で次々に日本記録を樹立する。1984年のロス五輪に出場。92年に引退するまでの13年間に日本最高記録12回、世界最高記録2回更新という記録を残す。現在「世界!ニッポン行きたい人応援団」(テレビ東京系列)、「ひよっこ」(NHK総合)等、テレビ番組のナレーションでも活躍中。

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