治療・予防

ギプス固定中の過ごし方
~患部に負担掛けないで(とらたに整形外科 虎谷達洋院長)~

 骨折や靱帯(じんたい)損傷などの治療で、患部をギプスで固定する場合がある。ギプス装着中は不便な生活を強いられるが、どのようなことに注意して過ごしたらよいのか。

 「ギプスは、患部が動かないように固定する治療法です。患部に負担が掛からないようにして、自然治癒力を利用し回復を待ちます」と、スポーツ障害や骨折治療に詳しい、とらたに整形外科(金沢市)の虎谷達洋院長は説明する。

ギプス固定中の注意点

ギプス固定中の注意点

 ▽固定で痛みが和らぐ

 ギプスによる骨折治療は、まず患部に下巻きとして筒状の包帯を装着し、その上に綿状の包帯を巻く。さらにその上から包帯状のギプスを巻いて固定する。ギプスは水にぬれると化学反応を起こして数分で固まる。

 ギプスというと、硬い石こうを想像するかもしれないが、最近はプラスチックとガラス繊維でできたグラスファイバー製の包帯状のものが主流。軽くて丈夫なのが特徴だ。

 患部が固定されることで痛みは和らぐ。しかし、緩い場合は患部が動いてしまい、痛みは治まらない。逆にきつ過ぎる場合や、巻いた後にさらに患部が腫れた場合には、ギプスによる圧迫で血流が遮断される。場合によっては組織が壊死(えし)しかねない。「それはコンパートメント症候群という重篤な状態です。ギプスから先の皮膚が変色したり、感覚がなくなったりしたら、すぐに受診を」と虎谷院長は注意を促す。

 ▽患部を高い位置に

 通気性がほとんどないので、ギプスで覆われた部分に湿疹などができやすい。かゆいとギプスの隙間から定規や割り箸などを突っ込んでかきたくなるが、皮膚を傷つけるおそれがあるので厳禁だ。かゆみが我慢できないときは、受診している整形外科でかゆみ止めを処方してもらうのがよい。

 また、ギプスの端が皮膚に当たって痛みが出ている場合は、皮膚潰瘍などの原因になるため、部分的に切断してもらうとよい。ギプスがぬれると下巻きの包帯が水分を含み、乾きにくくなるため、入浴時にはビニール袋で覆うなど防水対策も必要だ。

 痛みや腫れは、患部をできるだけ高い位置にすると和らぐ。ギプスで固定されていない部分の筋肉や関節を動かすと静脈の血流が促進され、むくみや血栓の発生を防ぐことができる。

 虎谷院長は「ギプスの装着期間はおおむね2~4週間。少しでも快適に過ごすためには、患部を安静にし、主治医の指示を守ることが大切です」と助言する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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