歯学部トップインタビュー
臨床に強く、世界で活躍できる歯科医師育成
~少人数教育で基礎固め―明海大学歯学部~
明海大学は1970年に城西歯科大学として埼玉県坂戸市に開学。88年には千葉県浦安市に外国語学部・経済学部の設置に伴い、大学名を明海大学に改称し、総合大学となる。その後、日本初の不動産学部をはじめ、ホスピタリティ・ツーリズム学部、保健医療学部を増設し、発展してきた。歯学部のある坂戸キャンパスは池袋から約51分の川角駅(東武越生線)から、さらに徒歩9分の高台にある。申基喆(しん・きてつ)副学長・歯学部長は「意欲のある学生に幅広く入学してもらえるよう学費もできる限り抑えており、海外に9校ある姉妹校での研修費用も大学が全額負担しています。感性と国際性を高め、臨床に強いだけでなく、国際未来社会で活躍できる歯科医師を育てたいと思っています」と話す。
申基喆 副学長・歯学部長
◇1、3、5年が垂直につながる
教育では徹底した少人数教育を取り入れ、学修内容が着実に身に付くようさまざまな工夫をこらしている。
1年次に行う「歯学基礎ゼミ」は7~8人のグループに分かれ、関心のある一つの課題について発表やディスカッションを行い、コミュニケーション力やプレゼンテーションスキルを養う。
1、3年次の「臨床実習体験Ⅰ・Ⅱ」では、臨床実習中の5年生と学年の枠を超えて垂直につながり、上級生が下級生を教えるユニークな教育システム(vertical tear)も導入している。
「1年生は入学後に病院を見学した初々しい状態、3年生は臨床系専門科目の授業が始まった状態で、先輩から臨床のことを学びたいという意欲が高まっている時期です。5年生は教えることを通じて自らが学修します」
2~4年次で行う「総合講義」は、前年度までに学んだ内容がすべて盛り込まれ、オムニバス形式でおさらいをする。試験もミニ歯科医師国家試験のようなマークシート形式ですべての科目が入っている。2023年度からは5年次でも行う予定だ。
「学生さんは大変ですが、歯科医師国家試験の合格は夢を実現するためのファーストステップですから外すわけにいきません。最終的に私立大学の平均合格率を安定して上回る結果を残しています」
◇盛んな国際交流 世界9校と提携
国際交流にも力を入れており、世界9校(アメリカ4校、フィンランド1校、イタリア1校、中国2校、メキシコ1校)と提携し、姉妹校の朝日大学(岐阜県)と合同で実施し、明海大学からは毎年36人の学生が研修に行く。
「希望者が多いので、学力・授業態度・コミュニケーション能力などを基に委員会で選抜しています。国際性を高めるためには、お互いの文化を理解し合うためのコミュニケーション力が第一。協調して一緒に発展していく姿勢が育ちます」
海外からの学生も受け入れ、個人的に交流が続くことが多いという。
研修は5年次に行うが、それを見据えて1年次には中国語、スペイン語、イタリア語を選択科目として学ぶ機会がある。
「コロナで3年間頓挫していましたが、22年度から一部再開しました。海外研修にかかる費用は、お土産などの個人的な支出以外は全額、大学が負担しています」
明海大学歯学部 坂戸キャンパス
◇学費を抑え、頑張る学生にチャンスを
私立歯科大学で6年間にかかる平均学費は2757万円だが、明海大学は1888万円と1000万円近く少ない。
「『歯科医師になりたい』という夢を持って頑張る人には、なるべくチャンスを与えようということです。経営基盤がしっかりしていますから、大学全体の経営努力で実現できています。医師や歯科医師ばかりでなく、歯科技工士、歯科衛生士、看護師、公務員、サラリーマン家庭のご子女も多く入学しています」
歯学部に入学した以上、歯科医師国家試験に合格することが当面の目標となる。そのため、9時から4時半までは授業で、5~6年生になると夜の10時~11時まで学校に残って勉強する学生も多いという。『歯科医師になりたい』という強いモチベーションがなければ継続していくのは難しいだろう。
◇「特待生制度」等により大学院進学もサポート
大学院歯学研究科では、学部在学中に一定の成績を修めた学生や大学院入学試験で優秀な成績を修めた学生が入学した場合に、大学院在学中の授業料相当額を奨学金として支給する「特待生制度」を設けている。また、学内進学者は入学金も免除となる。
「歯科医療の知識・技術は日々専門化していますので、患者様の多様な要求に応え、また、教育者や研究者には高度な教育研究レベルが求められています。多くの学生が博士の学位を取得し、高度な知識・技能を有する歯科医師に成長してくれることを望んでいます。願わくは、修了後は本学の教職員として、共に人材育成・歯科医療に貢献できればうれしいですね」
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(2023/01/18 05:00)