重篤な副作用起きたときに
~医薬品副作用被害救済制度(東京薬科大学 成井浩二准教授)~
医薬品には病気や傷を治す効果がある一方、副作用が生じることもある。適正に使用したにもかかわらず重篤な副作用が生じた場合に、医療費や年金などの給付が受けられる「医薬品副作用被害救済制度」がある。東京薬科大学薬学部(東京都八王子市)の成井浩二准教授に話を聞いた。
副作用の救済制度があることを知っておく
◇重篤な副作用に適用
この制度は、整腸剤キノホルムによる薬害(スモン事件)をきっかけに1980年に創設された。対象となるのは「入院を必要とする疾病や日常生活に支障のある障害、死亡に至るような重篤な副作用があった場合です」。
ポイントは「適正使用だったのか」という点で、〔1〕用法、用量〔2〕使用期限〔3〕家族などの処方薬を服用しない〔4〕年齢制限―といった約束事を守ったのに重篤な副作用を生じた場合に医療費、障害年金などが支払われる。
給付が認められた一例としては、40代女性が漢方薬(医療用)を使用後、薬物性肝障害が起きて入院。医療費と医療手当が支給された―がある。
「重篤な副作用が生じることはほとんどありませんが、万一に備え、この制度を知っていれば、給付を受けられる可能性があります」と成井准教授。ただし、「うちの子は体格がいいからと、大人と同じ用量の薬を飲ませる親がいますが、絶対にやめてください。副作用が生じても自己責任とされ、救済対象になりません」と指摘する。
◇添付文書の保管を
自己申告制で、被害を受けた本人または遺族などが医薬品医療機器総合機構(PMDA)に請求する。その際必要なのは、本人または遺族などが作成する請求書、医師の診断書や投薬・使用証明書など。薬局やドラッグストアで購入した医薬品は販売証明書が要る。
また医薬品に付記されている添付文書には、副作用など使用上の注意、用法・用量、保管・取り扱い上の注意などが記載されている。「添付文書に目を通すだけで処分する人がいますが、必ず保管してください。薬を飲んだ日付も記録しておくとよいでしょう」と成井准教授はアドバイスしている。症状が出たときに自分で副作用などのチェックができる上、救済制度を利用する際に薬剤名を確認することもできる。
救済制度相談窓口のフリーダイヤル (0120)149931(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/12/16 05:00)
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