より確実な早期診断に
~高齢者らに対象拡大―インフルエンザ検査法(長崎大学大学院 柳原克紀教授)~
インフルエンザは早期診断、早期治療が重要だ。医療機関で行われる感度の高い検査法の保険適用対象が2024年6月から、幼児や65歳以上の高齢者らにも広がった。範囲の拡大を提案していた長崎大学大学院(長崎市)医歯薬学総合研究科病態解析・診断学分野の柳原克紀教授は「早めに診断を受ける意義は大きい」と語る。

核酸検査の保険診療の対象
◇早期治療が重要
発熱、頭痛、倦怠(けんたい)感などの症状が表れて48時間以内に抗ウイルス薬を使うと、自然経過に比べて1日ほど早く改善する。重症化や合併症、後遺症の恐れが大きい5歳未満の子どもや高齢者では、特に早期治療が重要となる。
抗ウイルス薬を投与するには、インフルエンザと的確に診断される必要がある。その方法として、鼻や喉の粘膜を拭い採取した液からウイルスのタンパク(抗原)の有無を調べる抗原検査が行われており、結果は5~15分ほどで分かる。簡便だが、発症初期は感度が低いことが課題で、「39度以上の高熱など、明らかにインフルエンザが疑われるにもかかわらず、陰性になる事例があります」。
◇PCRと同じ原理
こうした中で、抗原検査よりも感度が高い「核酸検出検査」が、昨年6月から保険診療でより広く行えるようになった。対象は発症から12時間以内の▽5歳未満▽65歳以上▽妊婦▽その他の重症化リスクのある人。
「抗原検査は、標的となるタンパクに目印を付けて見つけるような方法。一方、核酸検査は、ウイルスの遺伝情報であるリボ核酸(RNA)を増やして検出します。PCR検査と同じ原理です」
核酸検査も抗原検査と同じように鼻や喉から拭い取った液を使い、結果は早ければ15分以内に出る。費用は2910円で、これに判断料、診察料などが加わるが、健康保険が適用されると1~3割の負担で済む。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2025/01/24 05:00)
【関連記事】