治療・予防

原因不明の血尿やたんぱく尿=ナットクラッカー症候群

 発症した血管がナットクラッカー(くるみ割り器)の形状に似ていることから名付けられた「ナットクラッカー症候群」の多くは小児期から思春期に発症する。成人では痩せた人に多く、突然の血尿で病院に駆け込む人も少なくない。東海大学医学部専門診療学系画像診断学の長谷部光泉教授は「血尿やたんぱく尿が続き痛みや貧血があるなら、内科的な治療や手術を考えた方がいい」と話す。

 ◇血尿や腰痛を訴える
 心臓から出た血液は腹部大動脈から左右の腎動脈、腎臓全体を経て腎静脈へ回収され、下大静脈を通り心臓へと戻る。左の腎静脈は、腹部大動脈と上腸間膜動脈の間に挟まれるように横切っており、内臓脂肪が少ない場合や、血管の位置の個人差で圧迫され、血液が流れにくくなる。「静脈内の圧力が上がり、左腎の細い血管が破れて血尿となります。たんぱく尿が出たり腰の後ろ側が痛いと訴えたりする人もいます」と長谷部教授。
 診断は腎盂(じんう)腎炎やネフローゼ、腎臓がんなど、血尿を症状とする腎臓の病気を一つずつ排除していく。コンピューター断層撮影(CT)やエコーで静脈の太さが5ミリ以下で、血流が著しく速いことなどが確認されると確定診断に至る。

 ◇貧血あれば手術検討も
 血尿以外に特に目立った症状が無い場合は経過観察となるが、頻繁に血尿が出て貧血を起こす、痛みが持続するなど、生活に支障が出る場合は手術の対象となる。「手術は左腎の静脈を切って少し下へずらしてつなぎ直す方法と、狭くなった静脈内に金属の網状の筒(ステント)を留置し血流を確保する方法の2種類があります」
 静脈の位置をずらす方法は開腹手術になるが確実に治療できるメリットがある。一方、ステント術は体への負担は極めて少ないが、健康保険適用外で、留置後6カ月~1年ほどは血液が固まらないよう抗血小板薬を飲む必要がある。
 ナットクラッカー症候群の中には、腎臓自体を摘出しなければならないケースや、圧迫された血流が別のルートを通り、他の疾患を招く例もある。たとえ経過観察の場合でも、定期的な受診は欠かせないという。
 「原因不明の血尿やたんぱく尿が続く場合は、泌尿器科やIVRという画像診断下での治療を行う専門医のいる医療施設を受診してみてください」と長谷部教授はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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