パソコン作業で凝りや痛み =重症化避け早期受診を―頸肩腕症候群
長時間同じ姿勢でパソコン作業を行っていると慢性疲労からさまざまな体の不調が表れる。「頸肩腕(けいけんわん)症候群」もその一つで、新小岩わたなべクリニック(東京都葛飾区)の渡辺靖之院長は「ひどくなると線維筋痛症(せんいきんつうしょう)を招くことがあるため、診断を受け、適切な治療を早期に行う必要があります」と呼び掛ける。
◇休日も、回復せず
厚生労働省の労災職業病「上肢障害」に指定されている頸肩腕症候群は手先の作業を連続して長時間続ける人に多い。腱鞘(けんしょう)炎から始まり、腕から肩、首にかけてひどい凝りと痛みが広がり、全身の痛みへ発展することもある。強い疲労感を伴い、休日を挟んでも回復しないのが特徴だ。
「性格的にきちょうめんで真面目な人、仕事で責任者となるような人に発症しやすく、慢性疲労症候群やうつ病と間違われることもあります」と渡辺院長。重症化して全身に痛みとこわばりが出る線維筋痛症を併発すると、治療が難しく日常生活に支障を来すという。
渡辺院長は、頸肩腕症候群を、A「広汎筋硬型」、B「広汎疼痛(とうつう)過敏型」、C「限局疼痛過敏型」、D「痛み無し型」―の4タイプに分類。「患者の8割近くはAですが、急にBやCに移行することもあります」
筋肉の圧痛と痛みの範囲や程度も重要な診断要素だ。渡辺院長は手指を2、3本重ねて、患者の体をトントンとたたきながら診察する「叩打(こうだ)痛検査」で皮下組織の下の痛みを捉え、握力、背筋力の測定値を併せて重症度を判断する。「凝りや痛みが強くなると脳の防衛本能が働き、筋力に制限をかけてしまい力が出せなくなるのです」と渡辺院長。
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(2016/09/28 14:41)