特集

窃盗症治療で再犯防止
高齢受刑者の受け皿、地域で連携

 全国の刑務所で、高齢受刑者の再犯防止対策が急務となっている。再犯で窃盗が高い割合を占めており、経済的な理由ではなく物を盗む衝動を抑えきれずに万引きなどを繰り返す「クレプトマニア(窃盗症)」の専門治療の必要性が高まっている。政府も身寄りがないなどの理由による再犯を防ごうと、刑務所と地域の連携事業や受刑者の認知症対策を始めた。

 ◇うつ、認知症との合併も

 「赤城高原ホスピタル」(群馬県)では窃盗症の専門治療を実施している。竹村道夫院長は「厳罰化すれば再犯を止められるという考え方はおかしく、窃盗症を治療し、根っこから悪循環を断ち切る必要がある」と強調する。

 なぜ高齢者が窃盗を繰り返すのか。竹村院長は「60代以降の高齢者は定年などライフサイクルの変わり目を迎える時期でもある。老後の不安から、最初はちょっとした万引きだったものが、病的にエスカレートする。物自体が欲しいというよりは、盗むこと自体に飢えるようになっていく」と説明する。

 高齢の窃盗犯の多くは、初回は説教されて追い返され、罰金刑になってからも盗みを続けていると逮捕される。「この段階になるともう病気で、治療が必要になる。窃盗症は半数以上、うつや精神疾患などを併発しており、両方の治療が必要になる。高齢になると、認知症との合併があり、今後も患者が増えると思われる」と竹村院長は指摘する。

 同クリニックでは、患者同士が経験を共有する自助グループなどによる治療を行っている。物を取りたい衝動や犯罪歴などを隠さずに話し合える場所をつくることが治療につながる。

 さらに独自の治療法として、万引きをしたら商品代に1万円を加えて店側に支払い、主治医に報告することを治療継続の条件とする「契約」を病院と結ばせる。契約書も携帯することで、病気を免罪符にせずに治療につなげることが可能となるという。

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