治療・予防

女性の濃い体毛、潜む病気
卵巣異常や薬副作用も

 気温が上がり、肌の露出度が高くなるこれからの季節。体のラインはもとより、手足の体毛を気にする女性も多いのではないだろうか。エステティックサロンなどで脱毛はできるが、多毛の陰に他の病気が潜んでいる場合もあるので注意が必要だ。「多毛症外来」を設けるパレスクリニック(東京都千代田区)の春山喜一院長に話を聴いた。

 ◇卵巣や脳の異常も原因に

 男性型多毛症とは、体毛が異常に濃い女性の状態を指す。女性は副腎で男性ホルモンが作られ、その分泌量が多いと多毛になる。生理不順や生理痛になったり、頭頂部の毛髪が抜けたり、ニキビができやすい傾向もあるようだ。

 春山院長は「多毛症には体質的なもののほか、副腎や卵巣、脳下垂体の異常、ステロイド剤など薬剤の副作用、甲状腺や乳腺、肺の疾患が原因の場合もあります」と説明する。

 生まれつき多毛であっても、男性ホルモンが増える病気にかかっている可能性があるため、同クリニックではホルモンの定量を調べる血液検査をした上で治療を開始するという。

 「当院を訪れる方の約65%は体質的な多毛症ですが、35%は多毛症以外の治療も必要な方で、卵巣の病気や脳腫瘍が見つかるケースもまれではありません。検査で他の病気が疑われた場合は治療を優先し、提携している医療機関に紹介します」と春山院長は言う。

 ◇本人が悩むなら

 人によって感じ方は異なり、多毛であるかどうかの捉え方もそれぞれ異なる。特に体質的な多毛症は、治療の対象になるかも気になるところだ。

 「一般的には多毛とは言えないような場合でも、お話を伺い、本人が見た目を気にして精神的に悩んでいれば多毛症として治療を行います」と春山院長。長年体毛の多さに悩み続けてきたが、「多毛症」という病名があることを知り、気持ちが楽になったという人も少なくないそうだ。

 同クリニックではレーザー脱毛を行っている。「多毛のつらい思いをわが子にさせたくない」と母親が子どもを連れて来院するケースも多く、本人が治療を希望し、痛みを我慢できるようなら、小さい子どもにもレーザー脱毛を行っているという。多毛に悩んでいるなら、受診を考えてもよいかもしれない。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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