治療・予防

ゴールは競技への復帰
アキレスけん断裂

 アキレスけんは、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨を結ぶ組織だ。走ったり、踏み込んだり、ジャンプしたりする際に、かかとを上げる「ヒールレイズ」と呼ばれる動作で重要な役割を担う。アキレスけん断裂はスポーツの場面で起こることが多く、選手生命を左右しかねない。稲波脊椎・関節病院(東京都品川区)の内山英司副院長は「アキレスけん治療のゴールはつながることではなく、元のスポーツに復帰することです」と強調する。

 ▽打撲と勘違いも

アキレスけんは急に踏み込んだとき切れやすい
 アキレスけんは急激に踏み込む動作で切れやすい。そのため、サッカーやバスケット、体操や剣道などで起こることが多い。高齢者が階段で足を踏み外して切れてしまうこともある。

 アキレスけんが切れると、「バチン」と大きな音がしたり、何かが当たったような強い衝撃を感じたりする。ところが、「アキレスけんには血管が少ないため、痛みや腫れはさほど出ません」と内山副院長。筋肉にごく近い部分で切れると強い痛みや腫れが出ることもあるが、アキレスけんはレントゲンには映らないため、打撲や肉離れと間違いやすい。

 ▽固定期間は短く

 アキレスけん断裂の治療には保存療法と手術療法がある。保存療法は爪先を伸ばした状態で足を固定し、切れたけんが自然につながるのを待つ。傷痕や感染症の心配はないが、固定装具を外すまで約6週間かかる。

 足を動かせない期間が長くなると、アキレスけんと周囲の組織との癒着が起こりやすくなる。また、けんの滑りが悪くなって、足を動かすことができる範囲が狭くなる恐れもある。アキレスけんが伸びた状態でつながってしまうと、筋肉の力がうまく伝わらず踏み込む動作ができなくなる。

 そのため内山副院長は「アキレスけんを元の長さになるように調節した上で強く縫合し、できるだけ早く動かすようにすれば、癒着や筋肉の衰えも少なく、可動域も狭くなりません」と手術療法を薦める。「HMB法」という精度の高い縫合法を使えば、入院期間を5~6日、固定期間を約12日と従来よりも大幅に短縮することも可能だ。

 アキレスけん断裂はどの年代でも起こり得る。内山副院長は「スポーツをする前に必ず足首回りのストレッチを十分してほしい。また、少しでも構わないので運動を習慣付けることが大切です」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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