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老化は口から
よくかみ、よく話そう

 最近、口の衰えを表す「オーラルフレイル」という言葉が注目されている。口の筋肉が衰えてくると食べこぼしや滑舌の悪化が表れやすくなる。東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)の渡辺裕専門副部長は「これまでは身体的な衰えが先行すると考えられていましたが、最近になって、口が先に衰え、全身の衰えにつながっていくことが分かってきました」と話す。

 ▽食事の多様性を喪失

 オーラルフレイルがあるかどうかは、歯の数やかみ砕く能力、舌の力、舌の細かな動き、むせの有無などで判断する。渡辺副部長によると、高齢になって活動量や意欲が低下すると、口の健康への関心も薄れて歯を失いやすくなるという。歯が少なくなるとかみ砕く能力が低下し、食欲がなくなるだけでなく、食事の多様性も失われていく。

しっかりかむことが大切

 食事の量と多様性が減少すれば、エネルギーやタンパク質の摂取量が減って筋肉が落ち、運動機能も衰えていく。渡辺副部長は「そのうち飲み込む機能も落ちてきて栄養障害に陥り、運動器の機能障害が進行し、要介護状態になりかねません」と指摘する。

 ▽硬い食べ物意識的に

 硬い野菜が食べられなくなると食物繊維が取りにくくなる。軟らかい食べ物ばかりになると、どうしても糖質の多い炭水化物の摂取が増えて味が分かりにくくなるため、塩分の多い食事を取りがちになる。その結果、生活習慣病を招くだけではなく、かみ砕く行為や唾液による自浄作用が低下し、口の中が不潔になり感染症のリスクも高まるという。

 渡辺副部長は「逆に言えば、オーラルフレイル予防は健康寿命を延ばすことにつながります」と強調する。口の衰えを防ぐには、まずしっかり口を動かすことだ。また、かむことが難しくなったからと硬い食品を避けるのではなく、逆にしっかりかむ必要がある食品を増やす工夫が必要だ。人と交流してしゃべることも効果的だという。

 「早く気付いて適切に対応すれば、元の健康な口に戻せます。口をあまり動かしてないと思ったら、歯をかみしめる運動をしたり、ガムをかんでみたりしてもよいでしょう」と渡辺副部長はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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