特集

「死の病」でなくなったエイズ
併発症など依然課題も

 ◇高い肝炎併発の比率

 ウイルス性肝炎の症例に詳しい東京大学医学研究所の四柳宏教授(感染症内科)は、HIV患者がB型肝炎やC型肝炎に感染している比率が高い上、治療効果が上がりにくいという問題を報告した。

 四柳教授は「HIV感染で免疫が低下していることや性的な活動が活発なことで、現在では性感染症(STI)の色合いが強くなっているこれらの病気に感染しやすくしている。肝炎を発病している場合は、HIVと並行して治療が必要になる」と指摘し、HIV感染者やエイズ患者が他の病気を併発した場合の医療側の連携の重要性を訴えた。

 この学術総会の会長を務めた白阪琢磨エイズ予防財団理事長は学会開催前に東京都内で記者会見し、「エイズを含めたHIV感染症は『死に至る病』から、一生治療が必要ではあるが、症状を制御できる慢性疾患になった」と強調。またエイズ患者の直接の死因になる日和見感染症でも研究が進んでいる。「治療薬が登場した感染症も増え、『今、HIVでは死にません』とも言えるようになった」と語った。

世界では今もエイズの患者は多い【AFP=時事】

 ◇用語説明 エイズ

 エイズは1980年代初めに原因不明の感染症として知られるようになった。体液や血液の媒介が必要で感染経路が限られているにもかかわらず、世界各国で多くの死者を出した。88年には世界保健機関(WHO)が世界全体でのエイズ感染拡大防止、患者への差別や偏見の解消を目的に12月1日を世界エイズデーと制定し、世界各国で啓発イベントやHIV感染の無料検査などが行われている。

 原因となるウイルスが特定され、87年に初めて治療薬が登場。その後治療法も進歩した。しかし、先進国以外では十分な治療を受けられない患者も少なくない。世界で約3500万人がエイズで死亡したとされる。(時事通信社 喜多壮太郎・鈴木豊)

  • 1
  • 2

新着トピックス