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第2回 クリニックを残して生かす選択肢
【開業医のためのクリニックM&A】 岡本雄三税理士事務所・MARKコンサルタンツ代表 岡本雄三

 時事通信社の記事によると、2018年に日本企業が関わったM&A(企業の合併・買収)の金額は29兆8802億円と、前年実績(13兆4000億円)の約2.2倍に上りました。

 武田薬品工業による約7兆円のアイルランド製薬大手シャイアー買収など、海外の大型買収案件が増え、1999年(18兆1041億円)以来、19年ぶりに過去最高を更新したそうです。

廃業は寂しい(写真はイメージです)

廃業は寂しい(写真はイメージです)


 ◇承継希望者と開業希望者をマッチング

 桁が大き過ぎて実感が湧きませんが、身近な開業医の世界に目を転じてみますと、私の事務所が昨年、お手伝いした新規開業のうち、約20%が第三者承継開業、言い換えれば、M&Aによる開業でした。

 このところ、愛知県の場合、開業の10件に1件は承継開業という認識はしておりましたが、いよいよ開業医にもM&Aが身近な問題となってきました。

 クリニックのM&Aには、承継するクリニックが個人事業であるか、医療法人であるかなどの条件によって、いくつかの形態がありますが、基本の形はシンプルです。現経営者であるA院長(承継希望者)から、新たな経営者となるB院長(開業希望者)にクリニックを譲渡するというものです。

 ◇地域医療のためにも

 院長が交代するだけなので、クリニックそのものは今まで通り地域に残り、引き続き診療が行われます。患者のため、地域医療のためにクリニックは貢献し続けることができるのです

 では、どういった場合にM&Aを選択するべきかを改めて確認しておきましょう(図表1)。

図表1

図表1

 開業医は高齢化などによって、まずはクリニックの承継を考えることになります。そこで最初の分かれ目は、後継ぎがいるか、いないかです。

 後継ぎがいる場合、お子さまに医師がいて後を継がせるなら、親子承継となります。また、一緒に働いてきた親族以外の副院長などに承継する意思がある場合も、そのまま承継を進めます。

 問題は後継ぎのいない場合です。ここでは廃院か、M&Aの道があるのですが、現状では後継者がいないことで、廃院を選ぶクリニックがほとんどです。

 しかし、後継ぎがいない場合には、M&Aという選択肢があることを忘れてはいけません。M&Aは廃院より明らかにメリットの多い選択肢です。


 ◇廃院とM&Aのメリット比較

 廃院した場合と、M&Aでクリニックを残す場合では、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう(図表2)。

図表2

図表2

 表から分かるように、廃院にはほとんどメリットがありません。その一方で、デメリットはかなり目立ちます。

 廃院に比べて、M&Aのメリットが大きいことが分かります。デメリットとして、マッチングの問題や税金などもありますが、これらはプロに任せることで、負担やリスクを大幅に軽減することが可能です。

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