一流に学ぶ 難手術に挑む「匠の手」―上山博康氏

(第11回)戦力外、旭川に=手術の腕で「上」目指す

 手術室で起きたことは血管障害チームの全員が知っていた。チームリーダーの上山氏が血相を変えて患者の個室に向かうので、部下一同がどうなることかと戦々恐々としてついてきた。

 患者を死なせてしまったのは自分のミス。上司の指示に従って手術法を選んだ背景には自分の保身もあったかと考えると、上山氏は自らの存在が限りなく小さいものに思えた。

 「それ以来、患者の病気を治すことだけに専念すると決めました。もう教授になりたいなどという野心も捨てました」。術前検討会では、自分が正しいと思う手術法を堂々と主張した。たとえ上司の見解でも、「いや、そうやらない方がいいと思います」と正面から反論した。

 医局内でも、おかしいと思うことがあれば、どんな小さなことでも見逃さず、徹底的に改革する姿勢を貫いた。 「例えば学会へ参加する旅費について、1人当たりの経費を抑え、1人でも多くの医局員が行かれるように見直したり、給料から差し引かれていたコピー代を医局員たちが負担しなくて済むよう交渉したりしました」。医局員は喜んでくれたが、上司からは怒られた。上山氏は3カ月で医局長を解任されたという。

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