一流に学ぶ 難手術に挑む「匠の手」―上山博康氏

(第14回)若手医師、札幌に集結=「匠の技」伝える

 2012年4月、63歳で旭川赤十字病院から札幌禎心会病院に拠点を移した。脳疾患研究所と優秀な脳神経外科医を育てる「上山博康脳神経外科塾」を創設。国内だけでなく海外からも若手脳外科医が学びにやって来た。塾長は旭川時代からの一番弟子、谷川緑野(たにかわ・ろくや)氏が務める。

 「いわば柔道の講道館のように、匠(たくみ)の技を伝える場所です。5年間はリレーゾーンに入り、その後はバトンを渡すつもりでした。後は頼むと言ってね。しかし今年で、その5年がたちました。終わる予定だったけど、まだやってます」

 17年4月下旬の朝8時。札幌にある禎心会脳疾患研究所のカンファレンスルームに続々と人が集まって来た。この日は学会のため、不在の医師が多かったが、参加者には海外からの研修医もおり総勢25人。この中には看護師、理学療法士、放射線診断医、医療事務など、病院内のさまざまな職種の人も含まれていた。

 議題は前日の手術の経過報告と、各医師が気になっている症例についての意見交換。医師の1人が「患者さんが治療を希望しないということで、お帰ししました」と報告すると、「動脈瘤(りゅう)が破れて死んでしまうかもしれないから手を付けたくない。だから患者が手術を希望しないように、後ろ向きの発言をしているということはないか」と上山氏。「患者が希望しないから治療しないのは、医者の逃げ口上の可能性もある。手術ができないなら他の方法はないか、他の先生に当たるぐらいのことを考えないと。ネバーギブアップだよ」

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