一流に学ぶ 難手術に挑む「匠の手」―上山博康氏

(第16回)両親と確執も、最期はみとる=家庭は円満、リタイア後の夢も

 父親は20年前、母親は10年前にそれぞれ他界した。両親との確執は消えることはなかったというが、2人を最後に引き取ったのは上山氏夫婦だった。

 「おふくろが元気な時は、嫁姑戦争もすごかった。おふくろが言葉の『核弾頭』を浴びせれば、奥さんは『パトリオット』で迎撃するみたいな」と振り返る上山氏。「でも僕が次男にもかかわらず、奥さんは結局、僕の両親をみとった。2人とも奥さんの手を握って『ありがとう、ありがとう』って言いながら死んでいきました」

 上山氏には息子が2人いる。それぞれ独立しており、2017年5月に次男が結婚式を挙げたばかり。他の多くの医師と同じように、家庭を顧みない父親だろうという予想は大きく外れた。

 「僕の家は『奇跡の家庭円満』と言われてるんです。家庭を顧みず、普通ならとっくに離婚されているはずの僕のところが家庭円満なのは、ひとえに奥さんが偉いからだってみんな言います。でも、僕もそれなりに努力してきたんです」

 どんなに忙しいさなかでも、子どもたちが小さい頃には週1、2回は必ず外食に連れて行った。ゴルフに誘われても一切行かず、趣味のフライフィッシングもやめ、土日は子どもたちと共に過ごしたという。

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