女性アスリート健康支援委員会 「食」の要注意サイン、ありませんか

完璧な自分、求めすぎていませんか
減量きっかけに摂食障害、先輩女子のメッセージ

 「スポーツでがんばるために、もっとやせたい」と思うあまり、食行動の異常を起こす「摂食(せっしょく)障害」という心の病気になってしまう人がいます。中でも、極端に食事が細り、やせてしまう「神経性やせ症(拒食症)」は、中高生のスポーツ女子に目立ち、小学生のうちにかかる人もいます。

 新体操をがんばっていた中学時代、拒食症にかかって長い間、心身の不調や人間関係に悩んだ経験を持つ女性が「自分の体験が後輩たちの参考になれば」と取材に応じてくれました。

 ◇中2で30キロ近くに落ちた体重

 「自分で言うのも変ですが、根はまじめで負けず嫌い」という鈴木香さん(仮名)。摂食障害の経験を話してくれた
   関東地方在住の20代半ばの会社員、鈴木香さん(仮名)。幼稚園の時から新体操を始め、小学6年生の時に、本格的に選手を育成するクラブに移籍しました。摂食障害になったのは中学2年生の時で、当時は通常、1日3時間程度の練習に週3~5日間参加していました。

 「中1の終わり頃から、クラブで毎月1回、選手たちを評価するテストが行われるようになり、その評価項目に体重測定が入っていました。体重が減るか、増えずに同じままだと、プラスポイントが付く仕組みでした。自分で言うのも変ですが、根はまじめな性格で負けず嫌い。下半身の太さを自分でも気にしていたこともあり、プラスポイントを得るために減量を始めました」

 当時、学校でも、周りの子たちがよく、体形のことを気にしていました。「『ご飯を抜いた』『きょうはスープだけ』と言っている子たちも、たくさんいました。そんな環境もあって、体重を増やすのはよくないと考えるようになったと思います」

      ◇減量に達成感、「太るのが怖い」という心理に

  今とほとんど同じ身長151~152センチほどだった鈴木さんは、41~42キロあった体重を38キロまで落としました。体重が減ったことに、達成感を感じたそうです。中2の夏、旅行に行った時に食あたりで1週間ほどまともな食事が取れず、体重がさらに落ちるという出来事があり、それをきっかけに、減量がエスカレートしました。

 「見た目がスリムになって、『体が絞れたね』と周りの人に言われて。でも、35キロくらいになると、明らかに病的。新体操の先生から『これ以上減らすと、演技時間の1分30秒の間に、踊り続けられなくなってしまうよ』と言われました」

 目標だった秋の地区大会には何とか出場し、個人で5位という成績を収め、それを最後に、新体操をやめることにしました。しかし、「太るのが怖い」という心理状態は続き、中2の冬には体重が32~33キロまで落ち、学校も休みがちになったそうです。

 鈴木さんのように、体重が軽くなったことに達成感や快感を感じて「もっと減量しよう」と思う一方、食べることへの抵抗感や罪悪感を持ってしまうのは、拒食症にかかった人に典型的な心理状態です。「もしも日常的に極端な小食が長期間続くと、ある日、突然体重が減らなくなり、減らなくなるから、もっと食事を減らすという負のスパイラルに陥りやすい」と、大妻女子大で栄養学を教える小清水孝子教授。「重症化すると命に関わる病気」と専門家は警鐘を鳴らしています。

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