女性アスリート健康支援委員会 「食」の要注意サイン、ありませんか

完璧な自分、求めすぎていませんか
減量きっかけに摂食障害、先輩女子のメッセージ

 ◇自分が病気だと認めたくない葛藤も

 鈴木さんは、心配した親の勧めでようやく医師の診察を受けました。最終的には病院の思春期外来で、拒食症と診断されました。

 「今から考えると、もっと早く診てもらうべきでした。最初は自分が病気だと認めたくありませんでした」という鈴木さん。医師からは運動を制限され、ご飯を食べて栄養不足を改善するよう指導を受けましたが、最初の頃は「食べたくないのに食べるのがかなり苦痛で、食べさせようとする医師や親が敵に思えた」と振り返ります。心の中では「私のためにやってくれている」と分かっていながら、医師に言われた分量のご飯を食べられるようになるまでには、心の葛藤があったそうです。

 「体をつくる時期には、ほんとうに食事を大切にしてほしい」と話す鈴木香さん(仮名)
 中3の時には体重が37キロくらいまで戻りましたが、その後も体重には変動の波がありました。高校時代には再び部活で新体操に取り組んだ時期もありましたが、体重は35キロから37キロあたりを行き来していたといいます。思春期外来には、大学に入る前の浪人時代まで通い続けました。

 鈴木さんは19歳で初めての月経が来たそうです。無月経は、食事が足りない「利用可能エネルギー不足」が原因であることも多く、摂食障害のリスクを避けるためにも、体のSOSサインとしてとらえ、十分食事を取る必要があります。

 ◇食事や人との関わりを大切に

 「摂食障害となってから、食へのこだわりが強くなり、人間関係を築くことも難しくなった」という鈴木さんですが、大学時代には食事会にもよく付き合うようになり、大切に思う研究室仲間もできました。

 「うまくいかないこともありましたが、そうした関わりを大切に思っています。人に認められたり、つながりを感じたりすることで、偏った考え方、マイルールが解け、食へのこだわりも緩やかになると思います」

 取材で会った時は「今は標準体形で43キロくらい」と話しました。「中高生に伝えたいこと」を尋ねると、「体を細くしたいかもしれないけれど、体をつくる時期には、ほんとうに食事を大切にしてほしい。そのことは第一に伝えたいですね」。続いて、「こだわってばかりいたら、疲れるよと言いたいかな」と笑って話しました。「完璧主義でまじめ」と自認する性格だからこそ、感じていることかもしれません。

 精神科医で日本摂食障害協会理事の西園マーハ文・明治学院大教授は「思春期の摂食障害は早く気付き、早く治療することが、とても大切」と話しています。もちろん治る病気であり、予防できる病気です。先輩のメッセージをぜひ、参考にしてください。(水口郁雄)

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