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大がかりな準備も今は昔?
~大腸内視鏡検査、患者の負担軽く~ 【第2回】

大腸内部の様子(オリンパス医療情報サイト「メディカルタウン」より)

大腸内部の様子(オリンパス医療情報サイト「メディカルタウン」より)

 ◇診療に工夫さまざま

 胃部内視鏡検査と比較すると、大掛かりとも言える大腸内視鏡検査ですが、患者さんの負担を軽減するさまざまな方法が登場しています。

 まずは苦痛を取るための方法です。胃部の検査と同様、鎮静剤を使って苦痛を減らせます。苦痛の原因の一つである腸内に送り込むガスについても、体に吸収されやすい二酸化炭素を採用するクリニックが増えています。

 次に、下剤を飲んで腸を空にする前処置についての対策です。用いる下剤は粉薬を水に溶かしたものが一般的ですが、多いと2リットル程度にもなり、決められた時間に飲むのが苦手という人は少なくありません。このため、錠剤タイプが準備されるケースが増えています。自分自身に合った下剤を選択してください。

 また、大腸カメラは診察と下剤の処方→検査→報告と何度も医療機関を訪れなければならず、仕事などで時間が取れない人には負担が大きいのが実情です。忙しい人にも検査を受けてもらう方法として、オンラインでの診察(スマート大腸カメラ)、早朝の検査(モーニング大腸カメラ)、土日検査といった対応を実施しているクリニックもあります。スマート大腸カメラだと、事前の診察と結果説明をオンライン診療で行い、検査日のみの対面診療も可能なため、3回の来院が1回で済みます。

 ◇食生活と運動で予防

 喫煙や飲酒、肥満、女性では加工肉や赤身肉の摂取も大腸がんの発症リスクを高める可能性があります。また、家族の中に大腸がんになった人がいたり、過去に大腸ポリープの多発を指摘されたりした場合も注意が必要です。一方、運動大腸がんの予防に有効です。食物繊維とカルシウムの摂取も有効との報告があります。生活に積極的に取り入れていきましょう。

 大腸がんは本来、進行する前に見つけられれば予後の良い疾病です。生活習慣の改善による予防と内視鏡検査による早期発見で対策をしっかり行ってください。(了)

高木院長

高木院長


高木謙太郎(たかぎ・けんたろう)
 2007年東京慈恵会医科大学卒。同大学付属柏病院、東京都立墨東病院、東京都保健医療公社豊島病院などを経て22年5月に四谷内科・内視鏡クリニック(新宿区)を開業。「胃がん大腸がんで亡くなる人をゼロに」をミッションに、人と人のつながりを大切にした、専門的で高度な医療を提供している。



〔参照〕
1. 公益財団法人がん研究振興財団:がんの統計2023
https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/2023_jp.html

2. 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会:消化器内視鏡Q&A/昨年大腸内視鏡検査を受けました。今年も受ける必要がありますか?
https://www.jges.net/citizen/faq/large-intestine_04

3. がん情報サービス. 大腸がん(結腸がん・直腸がん)予防・検診予防・検診 
https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/prevention_screening.html

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