こちら診察室 きちんと治そう、アトピー性皮膚炎

第4回 直接、間接の悪化原因を徹底チェック
~アトピー性皮膚炎、繰り返させないためには~ 野村有子・野村皮膚科医院院長

 アトピー性皮膚炎の治療ではせっかく症状がよくなったのに、再びかゆくなったり、赤くなったり、じくじくしたりと、元の状態に戻ってしまうことがたびたびあります。

 改善と悪化を繰り返すのは、悪化させる原因があるからです。何で悪くなってしまったのか、原因を徹底的にチェックして、きちんとした対策を取ることで、めったに繰り返さなくなります。

 

 野村皮膚科医院の野村有子院長
 症状を悪くする原因は二通りです。一つは、アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン=抗原)に触れたり食べたりするという直接的な原因。もう一つは、ストレスや疲れ、汗などの間接的な原因です。

 直接的な原因を知るには、まず、自分がどんな物質に対してアレルギー反応を起こすのかを知る必要があります。

 2月になると鼻がムズムズする人は、スギ花粉がアレルゲンかもしれません。そうじをすると肌がかゆくなる人は、ほこりが原因かもしれません。

 一人ひとり、アレルゲンは異なります。医療機関で詳しい検査をすれば、自分のアレルゲンが何かが分かります。

 血液検査では、どんなものに対してどのくらい強くアレルギー反応を起こしているのかを調べます。

 具体的には、食べ物、花粉、ハウスダスト(ほこり)、ダニ、カビ、ペットの毛など約200種類の物質について調べることができます。抗原特異的IgEという抗体の血中の数値を調べると、どのアレルゲンにどのくらいのレベルのアレルギーを持っているのかが分かります。

 また、血清中のTARCという特殊なタンパク質の数値を調べると、どのくらい皮膚症状が重いのかという重症度の判断の目安となります。

 ◇皮膚テストも行ってアレルゲン特定

 血液検査以外に、皮膚テストでアレルゲンを調べる検査方法もあります。

 「プリックテスト」は、皮膚に少しだけ傷をつけて、アレルゲンの疑いがあるものを1滴垂らすテストで、15分たって皮膚が赤くなっていないかどうかで、アレルゲンかどうかを判定します。食べ物、花粉、薬などについて調べることができます。

 写真は、アトピー性皮膚炎の乳児にプリックテストを行った結果、粉ミルクの陽性反応が出た例です。この乳児はその後、アレルギー反応が起きないよう工夫された市販の粉ミルクを飲むようにした結果、皮膚のかゆみや赤みが治まりました。

 「パッチテスト」は、アレルゲンの疑いがあるものを専用のばんそうこう(パッチ)で背中に48時間貼る方法で、2日後と3日後に赤くなっていないかどうかをみて判定します。皮膚に使ったり、接触したりする化粧品や金属、ゴムなどのアレルギーの判定に用います。

 こうした血液検査や皮膚テストで、自分がどんな物質に対してアレルギーを持っているのかを知ることにより、身の周りからそのアレルゲンを除去したり、触れたりしないよう気をつけることができます。

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