こちら診察室 きちんと治そう、アトピー性皮膚炎

第4回 直接、間接の悪化原因を徹底チェック
~アトピー性皮膚炎、繰り返させないためには~ 野村有子・野村皮膚科医院院長


 ◇悪化原因避ける正しい生活習慣を

 アレルゲンとなる物質は、年齢とともに変わってくることもあります。症状が再発したり悪くなったりしたときには、再度検査をする場合もあります。

 ところで、アトピー性皮膚炎がよくなって症状が治まっていたのに、急にまた悪くなった場合は、必ず悪くしている原因があります。

 実は、悪化の原因は一つとは限りません。例えば、仕事が忙しくて疲れがたまったことが悪化に結び付くこともあります。

 ほかにも「暴飲暴食をしてしまった」「急に日に当たった」「風邪をひいて体調を崩した」「大掃除をして、ほこりまみれになった」といった日常よくある出来事が、悪化の引き金を引くケースが多く見られます。

 急に悪くなったときは、悪化するまでの数日以内の生活を見直し、直接的な悪化の原因以外に間接的な原因もないか探ってみます。「どこに行って、何を食べて、何をしたか、書き出してみてください」と患者には伝えています。

 そうすることで、自分のアトピー性皮膚炎がどんな状況のときに悪くなってしまうのか、だんだん把握できるようになります。そして、悪化させないような生活習慣を身に付けていくことが大切です。

 ◇ストレスがたまると悪くなる

 ストレスもアトピー性皮膚炎の症状を明らかに悪化させるので、患者が気を付けたいことの一つです。

 ストレスにより交感神経が刺激されると、どきどきして不安になったり、胃腸の働きが弱まったりするだけでなく、体内の新陳代謝も衰えていきます。当然、皮膚はかさつきが強くなり、かゆみのもととなる酸化物が増え、肌荒れ、かゆみがひどくなってしまいます。

 皮膚にはかゆみを感じる受容体がありますが、ストレスによってホルモンのバランスが崩れると、いろいろな化学物質がかゆみの受容体を刺激して、かゆみを感じやすくなります。

 さらには、皮膚表面に存在する知覚神経の末端からサブスタンスPという神経伝達物質が放出され、肥満細胞と呼ばれる細胞を刺激します。その結果、この細胞からは、かゆみのもととなるヒスタミンという物質が放出され、かゆみがますます強くなります。

 ですから、アトピー性皮膚炎を治すためにも、ストレスをためないよう、時には、リラックスする時間を設けたり、好きなことをして気分転換をしたりすることは、とても大切です。(野村皮膚科医院院長・野村有子)


 野村 有子氏(のむら・ゆうこ)

 1961年岩手県生まれ。慶応義塾大医学部卒。同大助手などを経て、98年に野村皮膚科医院を開業。さまざまな皮膚疾患を治療し、スキンケアのきめ細かな指導を行う。雑誌やテレビなどの取材も受け、啓発活動に積極的に取り組む。






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