頭・顔・くびのけが 家庭の医学

□重いけがの場合
 意識がおかしい、呼吸が止まりそうだ、瞳孔(どうこう:ひとみの中心の黒い部分)の大きさが左右違う・両側の直径が大きい、頭皮の傷が深く骨が脳に刺さっている、出血とともに水のようなものが傷口から出てくる、激しい頭痛や吐き気、嘔吐(おうと)、手足が動かない、しびれがある、などの場合は重症です。ただちに救急車を呼び、脳神経外科医のいる病院に運びます。運ぶ際は頭とくびも固定します。くびの神経が損傷していることもあるからです。

□頭から出血している場合
 頭から出血がある場合はガーゼやタオル、ハンカチを当て、手で強く押さえ圧迫止血をします。頭皮の出血は思いのほか多量ですが、驚かないことです。
 また、頭の傷は小さな傷でも深いことが多く、外科のある病院を受診します。

□頭の軽いけがの場合
 こぶのような皮下出血やにじんだ出血は、氷水や冷たいタオルなどで冷やします。皮下出血がなくても、けが後1~2日間、激しい頭痛や吐き気、嘔吐、手足のしびれなどに注意します。脳やくびの神経に異常があることがあり、そのような症状があれば、脳神経外科のある病院を受診します。

□顔のけが
 顔のけがは脳やくびの神経が損傷していることがあり、応急処置後、くびと頭を固定し、救急車を呼びます。
 軽いけがでも、特に目のまわりの傷やはれがあるとき、目の動きがわるかったり、物が二重に見えるとき、鼻が変形しているときは病院を受診します。目のまわりに骨折があると、二重に見えることがあります。
 小さなけがでも傷が残るので、医師の診察を受けましょう。

□鼻血の手当て
 意識がある場合、寝かせずに木や壁に寄りかからせ、鼻に綿やティッシュをつめ、鼻先のやわらかい部分を4~5分間強くつまむと、止血することができます。
 意識がなく、上半身を起こせない場合は、血がのどに流れ込み窒息することがあります。口を開け、血やつばをとり除き、救急車を呼びます。

□くびのけが
 くびの骨まで傷がつくことはほとんどありません。くびのうしろは深い傷でなければ心配いりませんが、くびの横やのどは皮膚の下に気管や脳にいく太い血管があり、大量出血や空気がもれることがあります。急いで大きな病院に行きます。
 大きな衝撃力でくびの筋肉や靱帯(じんたい)などが伸びると、捻挫(ねんざ)やくびの骨がずれることがあります。手足の動きを確かめ、動かない場合は急いで救急車を呼び、くびと頭を固定し大きな病院に運びます。また、徐々にわるくなる場合も、整形外科のある大きな病院を受診します。

(執筆・監修:八戸市立市民病院 事業管理者 今 明秀)