急病人への心構え 家庭の医学

 誰でも目の前で、急に人が倒れたり、突然血を吐いたりするのを見ればおどろきますし、あわてます。しかし、急ぐ必要はあっても、あわててはいけません。
 まずは冷静沈着に状況(自分自身の安全の確保を含む)と意識を確認し、昏睡(こんすい)状態ならば気道の確保をはじめとする心肺蘇生法などの適切な処置をおこないましょう。
 同様に、早合点をしたり、うろたえてどなったりするのもいけません。このような行為は混乱を招くだけでなく、いたずらに周囲の人たちの正しい判断をじゃましたり、救護活動を遅らせることにつながるおそれがあるからです。
 また、日本人の特徴かもしれませんが、急病人を見ても「面倒なことにかかわり合いたくない」とばかりに、なにもせず、ただ野次馬と化している人がいるようです。心肺蘇生法などの救護処置ができない人でも、119番通報するなど、なにかの役に立てることはあります。
 この次はあなたが倒れるかもしれません。急病人を見たときは、わたしたち一人ひとりが勇気を出して救護にあたる社会にしたいものです。また、身体的にハンディキャップをもっている人を見かけたら、「なにかお手伝いしましょうか」と声をかけてください。このちょっとした声がけが、駅でのホーム転落事故や交通事故などの痛ましい事故を防止することになるのです。

【参考】救命・応急手当ての流れと注意点

(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)