無毛症〔むもうしょう〕 家庭の医学

 恥毛(ちもう)・腋毛(わきげ)といった性毛は、男性ホルモンの影響で、10歳ころから成人型へと発育します。無毛の原因には、薬剤や放射線などの物理的・化学的な原因、内分泌学的な原因、遺伝的原因(精巣〈せいそう〉性女性化症におけるアンドロゲン不応症など)によるものがあります。毛が薄いだけでは病気ではありません。
 診断には、染色体検査、テストステロンなどの血中性ホルモン値の測定、ほかの内分泌疾患が疑われる場合は、それに関係するホルモン検査をおこないます。
 治療は、男性ホルモン分泌不全に対しては、テストステロン薬の外陰部塗布や全身投与をおこないます。毛嚢(もうのう)欠損や、アンドロゲン不応症、先天性無毛症などに対しては、現在有効な根本的治療はありません。

(執筆・監修:東京大学大学院医学系研究科 准教授〔分子細胞生殖医学〕 平池 修)
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