脊髄腫瘍〔せきずいしゅよう〕 家庭の医学

 脊髄にはいろいろな腫瘍が発生します。脊髄内の腫瘍、脊髄外で脊椎硬膜内の腫瘍、脊椎硬膜外の腫瘍があります。

[症状]
 症状は脳腫瘍と同様に徐々に発症し、常に悪化していく特徴があります。
 おもな症状は両下肢の運動まひ、感覚障害、膀胱(ぼうこう)直腸障害、あるいは背部痛などです。症状が軽いうちは、たとえば右足の筋力低下と左足の温度感覚や痛覚のにぶさがあらわれることがあります。このように運動まひと温痛覚の障害が反対側に出るのが脊髄障害の大きな特徴です。
 脊椎への悪性腫瘍の転移は頻度の高いものです。特に肺がん乳がん胃がん前立腺がん悪性黒色腫などでしばしばみられます。これら悪性腫瘍の転移では、発症して1~2日で両下肢の完全まひ、膀胱直腸障害を生じることが多く、治療が困難です。

[検査][診断]
 脊椎の単純撮影、脊髄のCT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像法)、髄液の検査、筋電図が重要です。

[治療]
 脊髄内の腫瘍は脳神経外科、脊髄外の腫瘍は整形外科が手術を担当します。

(執筆・監修:一口坂クリニック 作田 学)