めまい 家庭の医学

 めまいは、からだのバランスを保つ機能に障害が起こると生じます。めまいの感じかたは、「自分のからだが回っている」「自分のまわりの地球が回っている」「雲の上を歩くようにフワフワする」「谷底に引きずり込まれるように感じる」など、さまざまです。
 めまいをうったえる人の数は、厚生労働省の国民生活基礎調査によると、約240万人にのぼっています。
 からだの平衡をつかさどる器官には三半規管、耳石器、前庭神経、頸部、脳幹、視床、大脳皮質があります。このどの場所が障害されてもめまいが起こります。
 三半規管はからだの動きをとらえる器官で、回転などの動きを鋭敏にキャッチします。三半規管に障害が起こると、からだが回転するようなめまいを起こします。耳石器は加速度や重力をとらえる器官です。ここが障害されると、フワフワするようなめまいを起こします。
 三半規管と耳石器でキャッチしたからだの信号は前庭神経で脳幹へ伝えられます。前庭神経が障害されると、強い回転性のめまいが起こります。脳幹にはからだの位置、平衡をつかさどる神経系が集まっています。ここが障害されると、回転するめまいが起こることが多いのが特徴です。脳幹からの情報は視床、さらに大脳皮質へ伝えられます。ここの障害では、多くはフワフワするようなめまいを感じます。
 めまいを大きく分けると、耳から生じるめまいと、脳から生じるめまい、さらに特に老人に多いめまいの3つに分けることができます。耳から生じるめまいでは難聴、耳鳴り、耳がふさがった感じがめまいと同時に悪化し、軽快します。これらの症状を「耳症状」と呼んで注意します。ただし、過去に難聴があったり耳鳴りがあっても、めまいと同時に並行して症状があらわれなければ、関係がないものと考えるべきでしょう。

【参照】耳の病気:めまい

(執筆・監修:一口坂クリニック 作田 学)