画像診断法 家庭の医学

■経静脈性腎盂造影
 静脈に造影剤(ヨード製剤)を注射して、その造影剤が尿に出て排出されるのにあわせて造影画像を撮ります。尿路全体を写し出す方法で古くからある検査です。昨今は超音波やCT検査に替わられて、あまり使われなくなっています。

■逆行性腎盂造影
 膀胱鏡で見ながら尿管から腎盂(じんう)にまで細い管を入れて造影画像を撮る検査です。尿管がん、腎盂がん、腎結核の診断などに用いられます。

■膀胱造影
 膀胱の中に造影剤を注入し、膀胱の形状や、膀胱から尿管に尿か逆流しないかどうかを検査します(膀胱尿管逆流検査)。膀胱憩室(けいしつ)や膀胱尿管逆流症の診断に有用です。

■逆行性尿道造影
 尿道から造影剤を注入し尿道全体を描出するもので、尿道の狭窄(きょうさく)やがんの診断に用います。

■超音波(エコー)検査
 体表面から体内に向けて超音波を当て、体内の組織に反射する音波の特性から内部構造を検査します。痛みがなく、スクリーニング検査として有用です。結石、腫瘍、嚢胞(のうほう)、水腎症などの異常所見の検出に役立ちます。下腹部では、前立腺の体積の測定、残尿量の測定、精巣の血流の測定などの目的でも使われます。

■CT(コンピュータ断層撮影)検査
 コンピュータによる断層画像で、からだを輪切りの状態にして調べられる検査です。尿路の状態を知るためには非常に有用性が高い検査です。ヨード・アレルギーのある人には造影検査はできません。造影CTで尿路の病変を評価する方法を特にCTウログラフィーと呼ぶこともあります。


■MRI(磁気共鳴画像法)検査
 核磁気共鳴を用いた画像検査で、CTと同様の情報が得られます。造影剤(ガドリニウム)を使った検査も可能です。前立腺の状態に関しては、CTよりさらにくわしい検査が可能です。


■前立腺針生検
 前立腺に細い針を刺して前立腺組織の一部を取る検査です。針を刺すときは、直腸内に探触子(プローブ)を入れて超音波で監視しながらおこないます。刺す場所は、直腸内からもしくは会陰(えいん)部(股のつけ根)からとなります。採取する本数はふつう8~12本ですが、20本以上のこともあります。採取した標本は病理検査を行い、がん細胞がないかを調べます。
 検査後には、直腸から出血したり、尿や精液に血が混じったりすることあります。細菌が感染して高熱が出ることもあるので、注意が必要です。

■失禁テスト
 一定の運動を行ってその間に漏れる尿量をはかる検査です。具体的には、パッドを当ててから水を飲んだり歩いたり跳んだりする作業を1時間くらいおこない、そのあとにパッドの重さをはかります。

■尿流測定
 尿の出る勢いをはかる検査です。単位時間あたりに排出される尿量を測定して、グラフに表示します。もっとも勢いのよい値(最大尿流量)は、正常で30mL/秒くらいです。前立腺肥大症などの排尿困難を生じる病気では、尿の勢いがわるく、排尿時間も長くなります。


■尿流動態検査
 膀胱や尿道のはたらきをみる機能検査です。尿流測定(上述)、膀胱内圧測定、尿道内圧測定、尿流内圧検査などの総称です。
膀胱内圧測定では、膀胱に水を入れていき、そのときの膀胱容量と膀胱内圧の関係をグラフに表します。尿道内圧測定は尿道に細い管を入れ、そこから注入する水の圧力を測定します。
 尿流内圧検査では、膀胱に細い管を入れたままで排尿し、尿の勢いとそのときの膀胱の中の圧力を測定します。前立腺肥大症などで尿の通り道が狭くなっていることを確認するためにおこないます。

(執筆・監修:医療法人財団みさき会 たむら記念病院 院長 鈴木 洋通)
(執筆・監修:東京大学大学院医学系研究科 教授〔泌尿器外科学〕 久米 春喜)
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