高齢期の適正な栄養量と食事の基本

 加齢とともに基礎代謝量(食事摂取基準の活用のしかた)が少なくなります。したがって、必要とするエネルギー量は少なくてすみますが、基礎代謝は筋肉量に比例しますので、年をとったから少なく食べるべきと一概にはいえません。最近ではフレイル(加齢による全般的なおとろえ)という概念が出され、高齢期にみられる筋力の低下(サルコぺニア)になる前の、「体重減少、日常の生活活動の低下」「身体能力の低下」がみられる段階で、この状態への栄養や運動の介入をおこなって「サルコペニア」への移行を予防しようという考えかたが重要視され、高齢者(70歳以上)の目標とするBMIを21.5~24.9 とし、「やせ」について警鐘が鳴らされています。
 加齢とともに身長が低くなり、体重も減るので、これに伴い適正量が減る栄養素もありますが、基本的には高齢期に減らすべき栄養素はないとされています(高齢者の適正な栄養摂取量についてのエビデンスが少ないため、現時点ではこのような表現となります)。むしろ、低栄養は、寝たきりの大きな要因となります。肉や魚を食べずに野菜中心の食事にする必要はありません。しっかり食べることが大切です。
 一般的には、高齢になるとからだ全体がかたくなり、運動量も減少し、動きもゆっくりになりますが、加齢によるからだの変化は個人差が大きく、高齢者の多くはなんらかの慢性疾患を抱えています。高齢者の栄養について考えるときは、抱えている疾患にも配慮が必要です。
 適正な栄養量を確保するための食事の基本は、エネルギー量は少なく、バランスのよい栄養(炭水化物50~60%、たんぱく質20%、脂質25%、ビタミン・ミネラル)、これを食事に直せば、穀類+魚肉類+野菜・芋+乳製品+果物を組み合わせた、食材料が多彩なメニュー(少量多品目)、減塩、水分は少しずつ頻回にとることが基本となります。