高齢期の適正な栄養量と食事の基本

 加齢とともに基礎代謝量(食事摂取基準の活用のしかた)が少なくなります。したがって、必要とするエネルギー量は少なくてすみますが、基礎代謝は、筋肉量に比例しますので、年をとったから少なく食べるべきと一概にはいえません。
 最近は、フレイル・サルコペニアという言葉がよく聞かれるようになりました。サルコペニアは「疾患」として位置づけられ「筋肉量の減少」を診断基準としています。フレイルは疾患としてではなく「加齢に伴い心身の活力が低下している状態」を指していますが、現時点では定義がさまざまです。考えかたとして、早期に発見して運動・栄養の介入をおこなうことで元の状態にもどることが期待できる状態としてとらえ、どのような栄養・運動が適切なのかの研究が進められています。
 栄養面での早期発見の指標の一つとして、体重の評価が用いられています。低栄養は体重の減少あるいは少ない人によく見られるため、日本人の食事摂取基準(報告書 平成31年)では、高齢期の目指す体重を示しています。

●観察疫学研究において報告された総死亡率が
最も低かったBMIの範囲(18歳以上)
年齢(歳)総死亡率が最も低かった
BMI(kg/m2
18~4918.5~24.9
50~6420.0~24.9
65~7422.5~27.4
75以上22.5~27.4
1 男女共通。
(「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書〈厚生労働省〉より作成)


 加齢とともに身長が低くなり、体重も減るので、これに伴い適正量が減る栄養素もありますが、基本的には高齢期に減らすべき栄養素はないとされています(高齢者の適正な栄養摂取量についてのエビデンスが少ないため、現時点では、このような表現となります)。むしろ、低栄養は、寝たきりの大きな要因となります。肉や魚を食べずに、野菜中心の食事にする必要はありません。しっかり食べることが大切です。
 一般的には、高齢になるとからだ全体がかたくなり、運動量も減少し、動きもゆっくりになりますが、加齢によるからだの変化は個人差が大きく、高齢者の多くはなんらかの慢性疾患を抱えています。高齢者の栄養について考えるときは、抱えている疾患にも配慮が必要です。
 適正な栄養量を確保するための食事の基本は、エネルギー量は適正に、バランスのよい栄養(炭水化物50~60%、たんぱく質20%、脂質25%、ビタミン・ミネラル)、これを食事に直せば、穀類+魚肉類+野菜・芋+乳製品+果物を組み合わせた、食材料が多彩なメニュー(少量多品目)、減塩、水分は少しずつ頻回にとることが基本となります。

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