住血吸虫症〔じゅうけつきゅうちゅうしょう〕

 住血吸虫は血管内に寄生する寄生虫です。肝臓や腸管内の血管内に寄生する日本住血吸虫(日本、中国、フィリピン)、マンソン住血吸虫(アフリカ、中南米)、メコン住血吸虫(ラオス、カンボジア)と膀胱(ぼうこう)周囲の静脈内に寄生するビルハルツ住血吸虫(アフリカ、中近東)があります。
 現在は日本での新しい感染はありません。熱帯地を旅行中に川や湖で泳いで感染するのが一般的です。人が水に入ったときに、中間宿主の貝の中で成長した幼虫が皮膚から入り込みます。成虫は1~2cmくらいで雌雄抱合して寄生しています。はじめは発熱と下痢、血便、血尿などがみられます。長い間に肝硬変、腹水貯留、脳神経異常、膀胱がんなどを起こします。
 便や尿中からの虫卵を検出、腹部超音波(エコー)検査、血清免疫学的な検査で診断します。流行地の川や湖では泳がないこと、足を水に浸さないことが大切です。かつて流行地に住んでいたことがある場合や、熱帯地への海外旅行がある場合は医師に必ず話すようにしましょう。感染初期には、有効な駆虫薬があります。

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授 松岡 裕之)
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