高尿酸血症は、食生活の変化に伴い増加したプリン体代謝異常による病気です。からだのなかでつくられる尿酸がふえたり、排泄(はいせつ)がうまくいかなくなった結果として、血中の尿酸が高くなった状態をいいます。高尿酸血症が持続すると痛風になる危険性が高まりますが、必ず痛風になるわけではありません。高尿酸血症を起こす原因としては、脂質代謝異常や糖質代謝異常などが複合的にからみあっていると考えられています。
日本痛風・核酸代謝学会では、治療の第1段階として、生活指導について次のような指針を示しています(高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版)。
□高尿酸血症の生活指導
1.肥満の解消(BMI<25)
2.食事療法
・摂取エネルギーの適正化
・果糖の過剰摂取を避ける
・プリン体の摂取制限(400mg/日を超えないようにする)
・2000~2500mL程度の十分な水分摂取(尿量を2000mL/日以上確保。ただし、慢性腎臓病が合併しているときには、医師の指示に従う)
3.アルコールの摂取制限
・プリン体の含有量に関係なくアルコールを控える。1日の量としては日本酒180mL、ビール330~500mL、ウイスキーダブル1杯(およそ60mL)
・禁酒日2日/週
4.適度な運動
・有酸素運動。すくなくとも10分以上の運動を合計して30分以上または60分程度おこなう
■プリン体の摂取制限
プリン体は、魚類、魚のしらこ、獣鶏肉類の内臓類、特に肝臓に多く含まれています。魚類では、カツオ、マイワシ、マアジの干物、サンマの干物、大正エビなどに多く含まれています。これらの食品を、1回にたくさん食べたり、頻回に食べるのを控えるようにするとよいでしょう。また、健康食品の中にもプリン体が多いものがあります。
■水分を十分にとる
尿量を多くすることは、尿中の尿酸濃度を低くし、結石を防止するのに役立ちます。特に朝は、夜間の発汗などで、脱水傾向になるので、寝る前に水分をとるようにします。朝起きたときや、入浴前などにも、水分をとるようにします。この場合の水分は、水やウーロン茶、麦茶、番茶など糖分のない飲み物が適切です。
脱水を起こしやすい高齢者は、朝から夕方まで少しずつ飲むようにします。
■アルコールの摂取制限
アルコールの代謝によって尿酸値を上げてしまいます。プリン体が少ないから飲んでいいとはいえません。アルコールの中でも、ビールはほかのアルコールにくらべて、プリン体が多いだけでなく、エタノールなどの量で比較すると、他の酒類に比べ、エネルギー量が高いので控えたいアルコールです。
〈参考文献〉
日本痛風・核酸代謝学会 編 : 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版, 診断と治療社, 2018.
(執筆・監修:女子栄養大学 実習特任講師 茂木さつき)