湿疹と皮膚炎 家庭の医学

解説
 湿疹(しっしん)と皮膚炎は皮膚に炎症を起こしてくる病気で、ほぼ同じ意味の病名です。皮膚が赤くなって“ブツブツ”(丘疹)が出たり、皮膚表面が粗くなったりします。かゆみの強いのが特徴です。皮膚病のなかではありふれたものです。
 湿疹には原因のはっきりしないものが多く、これを“湿疹”と呼んでいることもしばしばです。
 ほかに外来性の刺激、特に接触物質の毒性やアレルギーによって起こる接触皮膚炎(かぶれ)、体質が関係して特徴のある病像を示すアトピー性皮膚炎脂漏性湿疹、貨幣類似の特徴ある形状の貨幣状湿疹などがあります。
 かぶれは通常の湿疹とは次のような点で違いがあります。
 1.かぶれは、外から皮膚に作用したものがわかりますが、湿疹では、外部からの刺激ははっきりしません。
 2.かぶれでは、外から刺激がはたらいたところだけ、つまり、接触した部位の皮膚に一致して境界のはっきりした病変をつくります。いっぽう、湿疹ではそれがはっきりしません。
 3.かぶれは湿疹にくらべて、炎症症状が強く、赤みもはれもひどく、水疱(すいほう)をつくることもあります。自覚的にも、ほてる感じ(痛がゆい)や強いかゆみを伴います。

 この区別を知っておくことが、膏薬(こうやく)療法中に、膏薬でかぶれたかどうかを知る手がかりになります。
 湿疹、皮膚炎に含まれる皮膚病として、湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏(しろう)性湿疹、手の湿疹(主婦湿疹)、皮脂欠乏性皮膚炎、貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎などがあります。