薬の正しい知識 家庭の医学

コラム

災害時に備えておく薬

 災害時には薬だけでなく、いろいろな物資の流通がとまってしまいます。薬局でも薬の在庫が不足してしまうことがあります。このため、疾患治療のために普段からのんでいる薬は、いつも1週間分くらいの予備を用意しておくことが必要です。これは内服薬だけでなく、インスリンなど注射薬も同じです。手元に置いてすぐ持ち出せるようにしておくことと、あまり古くならないように新しいものと定期的に入れ替えておくことが必要です。また、いっしょにお薬手帳も持ち出せるようにまとめておきましょう。
 災害時に困るのは、かぜ症状やちょっとした熱です。総合感冒薬やアセトアミノフェンは家庭常備薬としてそろえておくと役立ちます。切り傷やちょっとしたけがもよくあるので、消毒液や絆創膏などもあるといいでしょう。そのほか、腰痛や筋肉痛、打撲に対して、鎮痛湿布薬もあったほうがいいでしょう。避難場所は乾燥していたり、なかなか入浴できないこともあり、保湿薬が役立つこともあります。

(執筆・監修:東京慈恵会医科大学 教授〔臨床薬理学〕 志賀 剛)