過敏反応 家庭の医学

 人によっては、特定の薬に過敏で、ふつうの人にとっては少量と思われるものでも、ひどい副作用を起こすことがあります。多くは薬などある物質に対して身体が反応しやすいという特異体質が関係していますが、病気と考えられることもあります。これを“薬物過敏症”といいます。
 ペニシリンや麻酔薬の注射で起こるショックや、アスピリンなどの解熱薬や抗菌薬による薬疹(やくしん)がこれにあたります。極端に強い場合は、生命にかかわります。過敏反応は、厚生労働省が収集する医薬品の副作用報告のなかでも、もっとも多い副作用です。
 また、薬を内服して太陽光に当たると、皮疹(ひしん)が出たり、ほかの薬といっしょに使うと副作用が出て、危険になることもあります。この理由として、ある種の薬を代謝(分解)する酵素のはたらきが低い、アレルギーを引き起こしやすいなど先天的素因をもっている場合(特異体質)もあります。
 一度このようなことになった場合は、必ず薬の名前を記録しておき、次に医師にかかるときに、申し出ることが必要になります。また、以前になにも特別な反応が起こらなかったから、絶対大丈夫とはいえないので、薬を使ったときは、いつも過敏反応を起こす可能性があると考えていなければなりません。
 このような反応が、皮膚などにはっきり見える状態で起こるとよいのですが、肝臓の障害などを起こすと、なかなかわからない場合があります。薬を服用して、食欲の変化や疲れなど、すこしでも変わったことがあれば、すぐ医師に相談すべきです。

(執筆・監修:東京慈恵会医科大学 教授〔臨床薬理学〕 志賀 剛)