習慣性(依存性) 家庭の医学

 薬のなかには習慣性(依存性)のできるものがあります。連用しているうちに、だんだん量をふやさないと効かなくなり、また長く使っている人が急にやめると、不眠や悪夢を見るなどの精神症状が起こったり、頭痛や吐き気がして、元気がなくなったりするため、やめようとしても、なかなかやめられないといったことをいいます。
 近年、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬の依存が問題となっています。眠れないからといって安易に薬に頼るのはよくないです。年齢に応じた睡眠の変化もあります。医師とよく相談し、睡眠環境や睡眠・覚醒のリズムの見直しや是正もおこないながら勝手に薬をのんだり、量を加減したりするのはやめましょう。
 モルヒネなどの麻薬やメチルフェニデートといった精神刺激薬にも依存が生じますが、限られた病気や状態には有用であり、その使いかたを心得て登録されている医師でなければ、使えないように決められています。いっぽう、エフェドリンからつくられる覚醒(かくせい)剤や、大麻(たいま)を常用する人がふえ、その依存が大きな社会問題となっています。薬物関連障害

(執筆・監修:東京慈恵会医科大学 教授〔臨床薬理学〕 志賀 剛)