その他の障害 家庭の医学

 各種の薬物による発疹(ほっしん)、腎臓に影響の強い薬を用いたための腎障害、神経毒性による神経炎や聴力障害(ストレプトマイシンによる聴覚障害など)、視力障害などがあります。
 よく鎮痛薬として使用される非ステロイド性抗炎症薬は、急に尿が出なくなったり、むくみや体重増加、さらに息苦しさが出現することがあります。特に利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬・アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬などの降圧薬を服薬している人、高齢者、脱水傾向になっている人に起こりやすいといわれています。
 骨髄障害による無顆粒球血症や、血小板減少症もいろいろな薬で起こります。また、心臓以外の薬でも精神神経薬や抗アレルギー薬、抗菌薬、抗真菌薬などで、心臓のとまる不整脈発作が起こることもあります。妊娠中に母親が特別な薬をのんで、生まれてくる子どもに奇形が起こったり、がんが起こることもあります。
 脈の乱れを治す薬(抗不整脈薬)であっても、かえって脈が乱れることや、心不全になることもあります。重症の不整脈の人たちに対する臨床試験で、ある抗不整脈薬を長期間用いた場合に、最初は有効と判断されたものの、まったく薬を使わなかった場合より、かえって死亡率が高かったという結果が報告されています。あらためて薬の効果の見直しが必要になっています。
 一般に作用の強い薬は、医師の十分な指導を受けます。服用のしかたや、量などをまちがえないようにし、しかも副作用がすこしでも出たら、適切な処置を受けなければなりません。

■薬の併用(薬物相互作用)
 いくつかの種類の薬を服用していると、予想以上の効果があらわれたり、反対に副作用が起こることがあります。なかには薬の効果がなくなったりすることもあります。
 昔から使用されている血栓を予防する抗凝固薬であるワルファリンは、必ず血液の固まりかたの程度を検査して、服用する量を決めてもらわなければなりませんが、納豆や一部の緑黄色野菜など日常の食物や抗てんかん薬などの薬物と服用するとその作用が弱まることがあります。いっぽう、抗菌薬や鎮痛薬などの薬と服用するとワルファリンの作用が増強されることが知られています。
 常用している薬以外に、別の薬を加えてのんだり、いつも食べないものを食べると薬の効きかたが変わることもあります。たとえば、高血圧治療薬であるカルシウム拮抗薬を服用している人が、グレープフルーツジュースといっしょに服用すると効果が強くなることが知られています。
 漢方薬は副作用が少ないといわれていますが、なかには血圧を上げたり、肺をわるくしたりするものもあります。医師にかかるときは、必ず服用している薬をすべて知らせてから、新たな薬をもらうことが大切です。

(執筆・監修:東京慈恵会医科大学 教授〔臨床薬理学〕 志賀 剛)