病院などが自社の血液凝固測定装置を使用する際、検査用試薬も一緒に購入させていた疑いがあるとして、公正取引委員会は4日、独禁法違反(不公正な取引方法)の疑いで、東証プライム上場の医療機器メーカー「シスメックス」(神戸市)を立ち入り検査した。関係者への取材で分かった。独禁法が禁じる「抱き合わせ販売」に当たる可能性があるという。
 関係者によると、立ち入りがあったのは神戸市の本社など22カ所。
 血液凝固測定装置は、血液が正常に固まるかどうかを調べる検査に用いられる。
 関係者によると、シスメックスはこの分野で国内シェア最大手という。販売先の病院などが、同社製の血液凝固測定装置を新規購入したり買い替えたりした際、同社の試薬だけを使用するよう求め、購入させていた疑いが持たれている。
 病院側が応じなかった場合、シスメックスは装置自体を販売しないと示唆したという。同社製の装置には他社の試薬も使えるが、シスメックスは自社の試薬購入を余儀なくさせ、他社の取引を妨げたとみられる。
 公式ホームページによると、シスメックスは1968年設立。臨床検査機器や検査用試薬の製造、販売などを手掛け、輸出先は190以上の国や地域に上る。
 シスメックスは4日、公取委による立ち入り検査を認めた上で、「全面的に協力していく」とコメントした。 (C)時事通信社