大規模災害や感染症など非常事態が発生した際、国が自治体に必要な指示ができる仕組みの創設を柱とする改正地方自治法が19日の参院本会議で、与党などの賛成多数で可決、成立した。個別の法律で想定していない事態に迅速に対応し、国民の安全確保を図るのが狙い。一部を除き9月にも施行される。
 採決では自民、公明両党に加え、日本維新の会などが賛成。立憲民主、共産各党などは反対した。
 今回の改正は、2020年2月に大型クルーズ船内で新型コロナウイルスの集団感染が発生した際、国や自治体間の調整が混乱したことが一つのきっかけ。法的根拠がない中で国が入院患者の広域的な移送調整を担ったが、国と地方との役割分担に課題が残った。
 改正法は、個別法に規定がなくても「国民の生命等の保護のために特に必要があると認めるとき」には、国が自治体に指示できるルールを設定。国と地方は対等とする分権の考えに基づき、指示権の行使は特例とし、指示する際には閣議決定を義務付ける。事前に国が自治体から意見を聞き取ることも努力義務とした。 (C)時事通信社