厳しい暑さが続く中、冷たい水が気持ちいいプール。ただ、プールに入っていても熱中症になる恐れがあり、注意が必要だ。専門家は「特に水温が高い場合は通常のような体温調節ができず危険だ」と警鐘を鳴らす。
 日本スポーツ振興センター(東京都新宿区)によると、2013~17年に小中学校のプールで熱中症になったのは全国で179人。23年には千葉市稲毛区の小学校で水泳の授業後に4年生の児童6人が熱中症で救急搬送された例もある。
 こうした事態を受け、各地の学校では現在、熱中症防止のため授業でのプール使用中止や夏休み中の開放を取りやめるケースが相次ぐ。東京都江戸川区では今年から熱中症警戒アラートが発令されるなどした場合、プールを含む屋外での体育授業を原則中止することにしている。富山県小矢部市では市内の小学校3校で夏休み中のプールの開放中止を決めた。
 熱中症に詳しい早稲田大の永島計教授は「人間は汗をかき、水分を蒸発させることで体温を調節する。ただ、水中では汗で熱を逃がせないため、通常の体温調節ができない」と指摘。特に水温が33~34度以上に上がると、体温との温度差が小さくなるため熱を体から水中に逃がせず、その結果、熱が体内にこもり熱中症のリスクが高まる。
 永島教授によると、人間は水中では喉の渇きを自覚しにくく、脱水状態にもなりやすいという。永島教授は「運動すれば必ず汗をかくので、小まめに水を飲んだり、涼しいところで休憩したりすることも大切だ」と話している。 (C)時事通信社