厚生労働省は5日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会で、医療機関で患者が支払う自己負担に限度額を設ける「高額療養費制度」について、負担上限を5~15%引き上げた場合の試算を示した。保険料軽減効果は年2600億~4300億円に上る。厚労省は近年の賃金上昇などを理由に負担上限を上げる方針。年末までに具体的な水準を決定する。
 高額療養費制度は、手術などで患者の自己負担額が高くなった場合、年収に応じて設けられた上限を超えた分を公的医療保険制度で払い戻す仕組み。負担上限を上げると、現役世代を中心に保険料負担が軽減する。現行制度は70歳未満だと五つの所得区分に分かれ、真ん中の年収約370万~770万円の区分は、月約8万円の定額に、医療費の一部を上乗せした分が上限となる。
 試算は所得を13区分に細分化した上で実施。全ての区分で定額分を5%引き上げると、1人当たりの保険料は年600~3500円、15%だと年1200~5600円それぞれ軽減される。給付費削減効果は年3600億~6200億円。
 厚労省は受診控えが起きないよう、低所得層に配慮した上で具体的な上げ幅を設定する方針だ。 (C)時事通信社